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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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「…そうまでして助けたいの?」

驚愕と怒りがない交ぜになった表情を伊吹に向けている。

「あいつのどこにそんな価値があるんだよ」
「……」
「なんで、」


なんで あいつばっかり あいつばっかり


地獄の底から響くように絞り出された声に、伊吹は呑まれる。声が出せない。
こいつは悪意の塊。瑞に対する異常なまでの執着心と憎悪を持つ魔。

だけど。

(…何でだろう、)

伊吹は憐れみを感じるのだ。非情な交換条件を突き付けてくる卑劣極まりないこの男を、心のどこかでかわいそうだと感じる自分がいる。ここまで悪意に染まっている彼の内側を、知ってやらなくてはならない。そんな気持ちにさせられるのだ。

「…夕島、おまえは一体何なんだ。俺と瑞は、夕島に何を」
「うるさいんだよ!!」

夕島は吼え、顔を上げた。今までにない感情の発露に、伊吹は身構えた。

「二人一緒に不幸にしてやる!!生まれ変わるべきじゃなかったって、思い知らせてやる!!おまえら二人のせいで、俺は、俺は…!!」

ギャアと大きな鳴き声がした。空が裂けたかというようなその大きな音。