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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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芝生らしい庭先。縁側から賑やかな声が聞こえてくる。老夫婦と、小さな男の子。男の子は嬉しそうに老女に抱かれている。

「柊也はいい子だねえ」
「もう少し大きくなったら、じいちゃんたちと一緒に海にいこうな」

孫と、祖父母。この後に待つ光景が、伊吹にはもうわかってしまう。嫌だ、もう観たくない。それなのに、瑞はやはりそこにも現れた。

「これも違う。だめだ」
「瑞、やめろ!」

や り な お し

塀を突き破って、乗用車が突っ込んでくる。悲鳴とブレーキ音。大きな音。伊吹は目を開けることが出来ない。また死の場面だ。

「瑞、もうやめてくれ…」

どうしてこんなことをするんだ。


「瑞だけのせいじゃないでしょう」


笑い声が聞こえ、伊吹は顔を上げた。そこは、見たこともない神社の境内だった。本殿への参道は、荒れ果てている。草が生え、石畳は割れている。灰色がより一層不気味さを煽る。


「おまえにも責任の一端があるんだ。贖えよ」


声は響く。本殿の社が、ギと音を立ててひらいた。此処まで来いと、そう言いたいのだろう。伊吹は震える足取りで、そこを目指した。

(何が起きているんだ。どうして俺に、あんなものを見せるんだ)

瑞を助けにきたはずなのだ。それなのに、あれではまるで、瑞が――



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