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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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氷のように冷たい目で、泣くわめく家族を見つめていたかと思うと、彼は踵をかえして歩き出す。

「待っ…」

追いかけようとしたとき、再び景色が剥がれ落ちた。ひどい眩暈がする。屈みこんでそれに耐えていた伊吹は、体に微かな振動を感じて目を開ける。

「ここは…」

伊吹はバスの中にいた。相変わらず、世界は灰色だ。修学旅行だろうか。たくさんの学生の楽しそうな談笑が聞こえてくる。バスの通路に立ち、伊吹は瑞を探す。いるはずだ。ここに。
学生たちは、はしゃいでいる。高速道路を走るバスは、彼らを楽しい旅へと導いてくれるはずなのだ。だが、それは叶わない。伊吹にはわかる。

「瑞…」

通路の前方に立っているのは、やはり瑞だった。

「これも違う。だめだ」

彼はその光景を氷の様に感情のない瞳で見つめたのち。

や り な お し

強い衝撃とともに、体を右側に引っ張られる感覚。大きな音と、悲鳴。再び目を開けたとき、横転したらしいバスの中は、地獄絵図と化していた。伊吹のそばに、血まみれの生徒たちが横ったわっている。まだ息のある者もいるが、伊吹にはどうすることも出来ない。

「瑞、なんでこんなことするんだ…おまえがやってるのか?」

瑞には伊吹の声など聴こえていない。ふいと背中を見せて去っていくのを追いかけようとしたとき、また違う灰色の光景が現れた。