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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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「姉の絢世(あやせ)です。何のお構いも出来ませんが、ゆっくりしていって下さいね」

絢世は、紫暮と双子の兄妹だと聞いている。市内で幼稚園の先生をしているという彼女もまた、母に似て溌剌とした美人である。紫暮はようこそといつものように落ち着いて迎え入れてくれた。

これが須丸家。瑞が育った家庭か…。

「さあ、あがってちょうだい」
「あの、これ、つまらないものですが」

と、伊吹は地元の銘菓を瑞の母に手渡す。

「まあ、ありがとう。ごめんなさい、気を使わせてしまって」
「こちらこそお世話になります。よろしくお願いします」
「そんな固くならないでね。遠くまで来てくれて、本当にありがとう」

瑞の母はそう言って笑った。こんなに感謝されるなんてびっくりだった。招いてもらったこちらが感謝しなくてはならないのに。

「あんたたち昼ご飯は?」
「駅で食べたよ」
「そう。じゃあ少しゆっくりしてなさい。夕ご飯、ごちそうだからねー」






「ただいま俺の部屋~」

階段を登ると瑞の部屋だ。荷物を放り投げた瑞は、フローリングの床にごろりと寝そべった。六畳の部屋は、窓が開け放たれている。眩しいくらいの山の緑が見えた。涼しい風が吹き込んでいて心地よい。

「疲れたでしょう先輩。ごろごろしてくださいね」
「大丈夫だよ。さっきまで人ごみにびっくりしてたけど、ここはすごく静かで気持ちいいな」
「よかった。散歩もおすすめだよ。夜は鹿とかイノシシ出るから危ないけどね」