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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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「こっちです」

田んぼと畑の間を歩き始める瑞を追う。古い家、新しい家、小さな公園、神社。川沿いの道を歩きながら、伊吹はあたりを見渡す。ここが瑞の育った場所か。町というにはあまりに小さく、村と呼ぶほど寂しくもない。

坂の中腹に日本家屋が見えてくる。鶏がいても不思議ではないような、昔ながらの玄関先。がらがらと音をたてて引き戸を開けた瑞が、ただいまあと声を掛ける。広い玄関から続く磨かれた廊下は、差し込む日差しですごく明るい。

「はーいいらっしゃい!」

奥から駆けて来た女性が、伊吹の姿を認めて笑顔を弾けさせた。伊吹は姿勢を正す。

「先輩、うちの母親です」
「あ、こ、こんにちは。神末伊吹です」
「こんにちは。遠かったでしょう。パパ~、瑞たち帰って来たよ~紫暮も絢世もおいで~」

瑞の母は、なんとも活力に溢れていた。溌剌とした笑顔とハリのある声。ショートカットのパワフルな女性で、ぼさっと立っている瑞は「あんた伊吹くんの荷物もってあげな!」と尻を叩かれている。

「初めまして、瑞の父です」

瑞や紫暮の穏やかな気質は、きっと父親似なのだろう。瑞の父はおっとりと微笑んでいる。背が高くて、やはりイケメンである。そして仏のような癒しオーラを発していた。瑞の言った通り。

「お待ちしていました。瑞がお世話になっております。ありがとう」
「こ、こちらこそ…」

瑞の父に深々と頭を下げられ、伊吹も慌てて頭を下げた。