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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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言葉を失っている伊吹の隣でしばらく猫のように警戒する様子を見せていた瑞だが、やがて伊吹のほうを見て申し訳なさそうに笑うのだった。その表情を見たら、あの日あったいろいろなことが蘇ってきて、胸が押しつぶされそうになった。

「なんで、もう会えないってあのとき…」

すまない、と彼は詫びた。

「沓薙の加護だ。コイツに危機が迫っているからと。特別におまえの夢の中だけにと許されて来た」

ということは、これは天狗の導きなのだ。魔除けの鈴を奪われたことで、沓薙の四柱が遠く離れたこの地まで、瑞を救おうと「彼」を伊吹の夢に遣わした。それ相応の事態なのだ。ここは、夢の中。ベッドでは、先ほどと同じように瑞が目を閉じている。

「助けたい。何が起きているんだ?」
「コイツの意識はいま、裏側に閉じ込められている。このままじゃずっと目覚めない」

裏側?閉じ込められている…?

「それってどこだ?誰がやってるんだ」
「…それは、」

言いづらそうにしている瑞に苛立ってくる。

「わかった、とにかく連れ戻さなくちゃいけないってことだろう?どうすればいいんだ」
「コイツの意識を辿る。伊吹、目を閉じて。おまえの意識も、同じくらい深い場所まで落とす。なんとか見つけてやってほしい」

よくわからないが、言われたように目を閉じる。焦るな、と言われる。心を落ち着けて、静かに心を整える。静かに呼吸を繰り返しているうちに、意識の境目が曖昧になる。眠りに落ちる直前に似た心地。

「伊吹、気を付けていけ」

瑞の声が遠くなっていく。

「…俺は一緒に行けない。それは許されていないから、おまえに託すしかない。本当に、すまない」

後悔の滲んだ声だった。

「全部俺のせいだ。すまない…本当に…許してくれ」


………




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