小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

螺旋、再び 探偵奇談20

INDEX|26ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

再びの邂逅



「瑞、大丈夫か?」

紫暮が瑞を呼ぶが、彼は深く眠っているようで反応しない。熱が高いようで、苦しそうに呼吸をしている。

「38度。明日の朝一番に病院に行こう。今夜はこのまま様子を見るよ」

氷枕を作ってくる、と紫暮は再び出て行った。伊吹はベッドに座って苦しそうな瑞の顔を見つめた。ただの風邪や疲労ならいいが、嫌な予感を振り払えない。先ほどの謎の呼びかけに始まり、眠る前の瑞が零した不可思議な言葉の数。「怖い」としきりに訴えていたように思う。

「瑞?」

彼の腕が伸びて、空を掴むように彷徨う。まるで寄りかかるところを探しているようなその動きに。伊吹は思わずその手を握って呼びかけた。

「瑞、つらいのか」

帰れない、と小さく嗄れたような声で瑞が答える。伊吹は彼の口元に耳を寄せる。

「え?」

帰れない。もう一度聞こえた。

「おまえ、いまどこにいるんだ…」

にわかに不安が押し寄せて来る。このま目覚めない。そんなはずないのに、そんな予感がよぎるのだ。

「とら、れた…」
「え?」
「すず…」

うわ言がしばらく続き、瑞は再び呼吸を繰り返す。

(鈴…?確か颯馬にもらったとか言ってたっけ)

詳しくは聞いていないが、ちょっと嫌なことが続いたから、お守り替わりにもっているのだと言っていたように思う。
瑞は何かに怯えていた。颯馬から与えられたお守りを奪われたというのなら、沓薙の加護が得られないということだ。瑞の不可思議な力の源は、もうあるべき場所に返している。弱まってしまったその部分に、何かにつけこまれているとしたら…。