螺旋、再び 探偵奇談20
「絶対逃がさないからな」
夕島の手には、鈴。颯馬から渡された魔除けの鈴が。妙なものに魅入られていることを知った颯馬が持たせてくれた物で、肌身は出さず身に付けていたものだ。沓薙の加護は、たとえ気休めでも、瑞にとっては大きな意味を持つ。それを、とられてしまった。
「返せ…」
「だめ。これでもう、おまえは無防備。俺には勝てないよ」
さあ眠れ、と夕島は言った。掴みかかろうとした胸元を軽く押されると、瑞の身体は力を失って布団に沈む。起き上がれない。瞼が重くて、意識が少しずつ遠のいていく。眠ってはいけない、強くそう思うのに、強烈な睡魔に抗えない。
「ようこそ。俺の世界へ」
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作品名:螺旋、再び 探偵奇談20 作家名:ひなた眞白