小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

螺旋、再び 探偵奇談20

INDEX|21ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 


訝しんだ伊吹が、額に手を当てる。冷たい手の感触。

「熱があるぞ」
「え、うそでしょ…」
「紫暮さんを呼んでくる」

慌てた様子で部屋を出て行く伊吹を見送る背に、あの声が掛かってくる。

「な。言ったろ?」

開け放たれた窓の桟に、夕島が座っている。夕闇を背に、まるでそこから抜け出してきたかのような夜の匂いをまとって。

「おまえ…何がしたいわけ…」

もういい加減にしてくれ。どうして俺につきまとうんだ。

「気に食わないの。おまえが、幸せそうなのが」

俺がおまえに何をしたって言うんだ。おまえなんて知らない。どうして俺の人生に介入してくるんだ。もうやめてくれよ。そう言ってやりたいのに、声が出ない。強大な力を前にして、瑞は畏怖している。恐ろしくて仕方がない。こいつには、どうやっても敵わないと、本能がわかっているから。

「それにしてもおまえは、あの先輩を大事にしてるんだな」

伊吹のことを言われ、びくりと腕が震えた。この絶対的な悪意が伊吹に向かう。それだけでもう、深い絶望が沸いてくる。

「悪い気に中てられてヘタってる瑞なんて、つまんないな。あの先輩に遊んでもらおう」

よせ、と言いたいのに、もう苦しい呼吸しか出来ない。