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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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水の流れる音がする。雨?違う。これは…川?昼間、翔太と言ったあの川だ。沈んでいたのは、そう、あいつだった。

どうして俺を追いかけてくるんだ。どこまでも、どこまでも。まとわりついて離れない不気味な微笑みが蘇る。


「瑞」


優しい声に呼ばれて覚醒する。日の暮れた薄暗い部屋。伊吹が覗き込んでいるのがわかった。

「…おかえり先輩」
「ただいま」

充実した笑みを浮かべているところを見ると、きっと有意義な時間を過ごせたのだろう。聞かずともわかる。瑞はだるい半身を起こして、伊吹に向き合う。

「少し具体的に進路を考えられそうだ」
「そっか…じゃあよかった。先輩明日はどうするの?」
「明日はもう何もない。一緒に出掛けよう」

伊吹が柔らかく笑っている。それを見るだけでホッとする。

「うん、出掛けよ」
「瑞どこ行きたい?」
「のんびり、散歩したい…」

受験とか進路とか、怖いこととか、全部忘れたい。

「いいな散歩」
「観光地とか人ごみじゃなくて…明るくて、静かなとこで…それで、」

それで、と瑞は無意識に声を潜めている。

「…瑞?」

だって、きっと聞かれている…。あいつは、俺の幸せをずっと見ている。どうやって壊してやろうかって、笑っている…。

「それで…怖いものがいないとこがいい」
「…どうした?おまえ、なんか変だぞ」