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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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帰らないと。伊吹は資料をしまって立ち上がる。そこへ紫暮が戻ってきた。

「お待たせ。そろそろ帰ろうか」
「はい」

焦りを見せないように取り繕いながらも、伊吹は嫌な予感を振りほどけない。

「あの、ちょっと瑞に電話してもいいですか」
「うん」

不審がることもなく紫暮が了承する。しかし出ない。コール音だけが耳を通り抜けていく。ますます気が急く。

「出ないかい」
「はい…翔太くんと遊んでるのかもしれないですね…」

そうはいいつつ、声を聞けないと、無事を確認しないと不安でたまらない。

「絢世が帰っているはずだから電話してみるよ」

紫暮がそう言って、妹に電話をしてくれる。絢世がすぐに出たようで、紫暮は瑞について尋ねてくれた。

「瑞は?うん…うん…そう。わかった」

寝てるそうだよと紫暮は通話を切って答えた。

「翔太と遊び回って疲れたそうだ」
「そうですか…」

家にはいるようだ。少しだけ、安堵する。

さきほどの声の主は誰だったのだろう。なにを言いたかったのだろう。瑞と関わるようになってかっら、こういった理屈では説明出来ないことに幾度も出会ってきた。だから今回も、何かある気がするのだ。





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