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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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「そんなこと…俺の方が、支えてもらっているんです」

何となく静かになった座敷に、伊吹の小さな声が響く。みんなの視線が伊吹へと向いた。それに気づいて少し俯いた伊吹だったが、丁寧な言葉で続きを紡いだ。

「部活動でもそうです。気が利いた事を言うとか、みんなを励まして鼓舞するとか、そういうのは瑞は上手じゃないと思う。だけど、誰よりも努力して部を引っ張ってくれる。行動で示してくれるから信頼できる」
「先輩…」
「それに瑞は優しいです、すごく。だめな主将の俺の失敗とか至らなさを責めるんじゃなくて、一緒に考えてよくしていこうって、苦しんでくれる。俺は本当に、こいつの優しさに救われてると思います」

そんな風に思ってくれていたなんて、知らなかった。自分は迷惑を掛けてばかりだし、決していい副将とは言えないと悩んでいたから。もっとうまく後輩と関わらなくちゃ、とか、少しでも三年生の負担を減らすために二年生が頑張らなきゃいけないのに、とか。

(やばい、ちょっと泣きそうだ)

ほんわかとした空気が流れ、伊吹は照れ隠しなのか手洗いに立ってしまった。

「よかったな瑞」

父が静かに言うのを噛みしめる。
伊吹のあんな言葉を聴けただけで、帰省した意味があったなと、瑞は兄に感謝した。






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