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今さら台湾旅行記

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 台湾で地元民に人気の店と言うのは歩道にテーブルを出してある半分屋台のような店が多いです、看板を見るとその店に違いなかったのですが、旅の昼食は休憩タイムでもあるわけで、歩道に出されたメラミンのテーブルと赤いビニールの丸椅子ではちょっと不満、もうそこから別の店を探そうと言う気にもなれずに結局そのすぐ裏にあった店に。
 店の名前は忘れてしまったのですが(確か『汕』と言う文字が入ってたのだけは憶えてます)、結果的にここは結構良かったです。
 本当は火鍋(台湾では鍋料理全般を指すらしい)の店らしくて、テーブルに案内されるとタレの入った器が並べられたのですが、そこまでゆっくりするつもりもなく、日本語も通じない、英語でどうやって表現したものか迷っていると、妻が『We want just simple lunch』と……それでバッチリ通じたらしく『OK OK』とタレを下げてくれました。
 台湾では伝票のようなものに印刷されたメニューに数字を書き込んで注文するのが普通、と知っていたので繁体字に苦戦していると、またしても妻が。
『写真入りのメニューなんだから指差した方が早いんじゃない?』
 仰る通りでございますw
 結局、魯肉飯に似た感じで、豚肉が牛肉に変わっただけのような丼物、ハマグリのスープをそれぞれ二人前、それと昨夜食べ損ねた牡蠣オムレツ、台湾に着いてから野菜をまるで取っていなかったので空心菜の炒め物をひとつづつ注文、特にハマグリのスープはほとんど味付けしていないんじゃないかと思うほど薄味でしたが、その分ハマグリのダシが出ている感じで『沁みる~』と言う感じ、思えば台湾に着いて以来買い食い的な食事ばかりだったことに改めて気づいた次第。
 料理は皆美味くて満足しましたが、お会計は全部で600元、一品が100元、370円と言ったところ、まあ、バーミヤン並みと言ったところですかね、でも落ち着いた店内で休めたことと、味が良かったことを思えば充分リーズナブル、朝、バス騒動でちょっと疲れていましたがしっかりリフレッシュできたので大満足の昼食でした。
 リフレッシュできたところで午後は再びMRTに乗って打狗英国領事館へ。
 ここ、良かったですよ、ガイドブックの扱いは小さかったんですがネットで写真を見て良いなと目を付けてました、建物も資料館にリノベしてはいますが、基本的に当時のものです、本物です。
 イギリス人は台湾に文明も伝えたのでしょうが、結構土地も分捕っていたようで、おそらくそんなことが書いてあったんだろうと思います、漢字ばかりの中国語だとその程度にしかわからないのが情けないですが。
 道路沿いの、当時は役所みたいな場所だったのではと思える建物の裏手、ちょっとした丘を階段で登って行くと、おそらく領事の公邸だったんだろうと思える、英国式レンガ造りの建物が現れます、英国式と言っても現地の職人が建てたんでしょう、どこかトロピカルなムードもあって、海を見渡せるテラスが最高、しかもそこはティーラウンジになっていて、思いっきり『午後の紅茶』を楽しめます、紅茶も現地で採れたものなのでしょうが完全に英国式(もっとも、イギリスに行ったことはないですけどw)、テラスで紅茶を飲んでいると『慕情』のメロディが頭に浮かんできます、そんな感じ。
 妻もここはいたくお気に召した様子で、しっかり時間をかけてお茶を堪能し、敷地内をくまなく散策。
 実は時間をかけたのには他の思惑もありまして、最初の予定ではもうひとつ観光地を挟んで旗津半島へ行くつもりだったのですが、バス騒動で時間を潰してしまったこともあって『もうひとつ』は割愛、でもそれで結果的には良かったかも……アラシックス夫婦の旅行です、そんなに詰め込んでもねw

 領事館を後にして、タクシーを拾ってフェリー乗り場へ、あっという間についてしまい後で思えば歩いても10分くらいだったのですが、70元なら良いでしょう、日本ならバス一人分程度ですしね。
 フェリーと言っても渡し船に毛の生えた程度、旗津へも5分で着いてしまいますし、1階の車両スペースにも車なんか一台も載っていない、その代わりバイクで溢れかえっています、台湾は本当にバイクが多かったですね。

 半島ではレンタサイクルがお勧め、とガイドブックに有り、船着き場のすぐ近くにはレンタル屋が並んでいます。
 ですが、実際には自転車ではなく電動四輪車が人気、二人乗りと四人乗りがあるようですがもちろん二人乗りをチョイスして走り出します。
 これがなかなかw
 電動と言うことで、バイクのようにハンドルに仕込まれたアクセルを回すと走り出すのですが、時速15キロくらいですかね、フルスロットルで。
 なんか遊園地の乗り物のよう、それで公道を堂々と走っちゃいます、実際、車はほとんど走っていなかったですから問題ないんです、その田舎っぽさも良い感じ。
 この四輪車で島を巡るのですが、小さな島なので大した観光スポットはありません、レンタル屋でくれたマップに古いトンネルが描かれていたのでそこを目指します。
 大した観光地はない、と書きましたが、それはつまらないと言う意味ではありませんよ、トンネルの近くに四輪車を置いて徒歩でトンネルを抜けると……海!
 結構荒々しい波が岩場に打ち付ける様はなかなかの迫力でしかも美しい、そして海っぷちにサボテンが生えてるのも不思議な感じです。
 他にも観光スポットはあるのですが、ちょっと英国領事館で時間を使い過ぎたので次なる目的地へ、そこが最終目的地になりますw
 四輪車はビーチに沿ったサイクリングロードをひた走りますが、ところどころ道は切れていて砂にハマるとモーターでは脱出できずにペダルをこぐか、それでもだめなら降りて押してやることに……それが億劫ではなく、束の間の愛車が可愛くなるんですよ、このユルさがイイ!
 ちなみに四人乗りもモーターは同じらしくもっと遅かったですし、砂にハマると四人がかりで押してましたw 日本でこんなことがあったとするとクレームになりそうですが、ユルい雰囲気の中では全然OK、それで良いんじゃないでしょうかねぇ。
 そして!最終目的地は実に良い感じでした。
 ビーチの端っこなんですが、夕日のスポットでもあるんですね。
 11月も末だと言うのに水着で遊んでいる子供たちもいたりして。
 もっとも親は半袖半ズボンではありますが海には入ってませんでしたからまあ、冷たいんでしょうね、あ、サーファーだけは海に入ってましたよ。
 で、そこで木を切り倒しただけ、あるいは流木を引き上げただけのようなベンチに座って、ボーっと日が落ちるのを眺めてました、30分くらい。
 なんか、昔『日曜洋画劇場』のオープニングで見たような夕日を。
 そんな時間って、日々の暮らしにはちょっとないですもんね、良かったですよ(^^)

 再びフェリーに乗った頃にはどっぷりと日が暮れかけて……でももうひとつ予定がありました。
作品名:今さら台湾旅行記 作家名:ST