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恥化しキミのこと

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恥化しキミの唇




何故に唇なのか。
口ではいけないのか? 歯はどうだ? 舌なら話になるのか?
そんな困惑の気持ちを見透かすように 口角は上がる。
ならば、じっと観察してみたい。近づけば近づくほどに見えなくなってしまうのが哀しい。
そのまま 触れてしまっては・・・。

鼻の下から上口唇の間を人中(にんちゅう)という。色気のない名称だと思うが 人がチュウをすると思えば 名も遠からず。ただそこを狙って接吻するのは どうかと思う。

口唇の周囲にカサつきは見られない。口唇にほんのり赤みが見えるのは、淡い色目のルージュだ。口触りは べたつかないのかと考えるがどうなのだろう。
のっぺりとしたアーチではない上口唇は中央がくっきりとしている。人中が深く極小の湖のようであり、上口唇は景観のいい小山のようだ。キューピッドボウ=天使の弓といわれると お近づきになりたいのは当然だろう。くちばしといわれるところは上口唇結節というお堅い名称だが その先っちょで突かれたいものだ。
上下どちらの口唇も厚くも薄くもないごく平均的な容姿をしている。ひとところ噂のアヒル口ではないが にんまり満足げに微笑んだ唇が 人懐っこい猫が「にゃぁ」と鳴いた後の口元に重なって見えた。
「仔猫グチ」と命名。
その口から「ん、もう!」と愚痴は聞きたくないものだ。

愉しく歌う唇。ひっそり話しかける唇。
大口を開けないのに充分に笑っている唇。

どのくらいの接近がそのチャンスなのだろうと 悶々・・・。


作品名:恥化しキミのこと 作家名:甜茶