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恥化しキミのこと

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恥化しキミの手




好きじゃないの。
そんなことを言う。どこが? 温かいじゃないの。わりと器用だよね。
手です、と揃った形状に不服をいうなんて 贅沢じゃないか?
包丁で切っちゃうのも、家具の端っこにぶつけるのも 手の所為ではないでしょ。

でも言わない・・・ 手を繋ぎたいから。
手触りのいい手ってあるけど、好みの問題だ。
誰もが ほっそり長い指で しなやかな白い肌で どんな色も装飾も似合う爪があればと思う気持ちがあっても そればかりでは生活できない。 
指環が似合っていた指は サイズがひとつ大きくなった。関節が節だってきたって苦笑い。裁縫で何度も針を刺したから 少々のことは平気になったって?
包丁で切って慌てて縫った傷跡も もう薄らいで見えなくなってきた。

擦り合わせるとシュリシュリと音を立てる乾いた手には クリームをつけてみよう。
しっとり潤い柔らかふにゃんの掌で頬に触れてごらん。
はい、頬杖。
こうして思い出す時は ほのかな嬉しい記憶。

痩せたと喜んで広げた手は骨ばっいて、手の甲でうごめく骨の動作の模型のようだった。指を絡めて繋いだ恋人繋ぎの手は心地よくて、離すものかと思ったけど、汗をかいた掌が恥ずかしかった。
今は、ささくれがあったり、爪の横が硬く荒れたり、ひび割れといっては手を見せてくれないね。顔の綺麗さは手入れだけど、手の綺麗さは心だと思うんだ。
形は違っても その温もりはいつだって最高だ。繋いでいたい。

もしやその手は冷え冷えのガチガチではないか 背中にはやめて・・・。


  
     ―了―
作品名:恥化しキミのこと 作家名:甜茶