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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影惑い 探偵奇談19

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どれくらいたっただろう。瑞がそっと体を離して、郁の顔を覗き込む。

「…ちゃんと言うまで、俺しつこく追及するから」

怒ったように言ったのち、彼はフイとソッポを向いた。拗ねた子どものように。

「い、言えないっていってるじゃん!」
「だめ!俺ヤダもん、こんなの!」

怒っている。郁も負けじと言い返す。

「…絶対言わない!」
「言わす!」
「な、なんでそんな意地悪言うの!?」
「一之瀬のが意地悪だ!ずるいだろ!」
「ず、ずるい!?」

ずるい!と瑞は断言した。郁は、もうぐうの音も出ない。だって、意地悪でずるいと言われるのは当然で、その通りだから。言い返せない。

「一之瀬は俺を侮ってる。それが一番ムカツク」

しばらく黙したのち、瑞が呟くように言った。

「どんな答えでも、俺がそんな簡単に一之瀬を嫌いになったりすると思ってるの?本気で?逆の立場だったら、俺は絶対そんなこと思わない」
「……」
「…それがまじで悔しいわ」

そう言うと瑞は踵を返した。

「そういうわけだから、俺今後はおまえに対して遠慮しない」
「え、ええ…?」
「言いたいことは言わせてもらう。絶対口割らせて、何考えてるか聞きだすまであきらめない!」

ズンズンと怒ったように地面を踏みしめて、彼は戻っていく。郁は、ぽかんとその背中を見つめていたが。

作品名:影惑い 探偵奇談19 作家名:ひなた眞白