短編集57(過去作品)
それはまるで結婚初夜を思わせるハニーなものだった。
何事も支障なくすむと、そこには不安がよぎるもの。二人は本当に満足だった。
ハッキリと恋が成就したのを感じていた。燃え尽きるような恋である。
しかし、それが愛に変わるかどうか分からない。何しろ定期的に人恋しくなる敏行の性格が治ったわけではなく、それを承知の上で好きになったまみだったからである。
結婚という言葉、お互いに考えないようにしている。それまでの約十年間を二人は思い起こしているだろう。
きっとあっという間だったに違いない。そしてこれからも同じ思いであろうことを二人して感じていた……。
( 完 )
作品名:短編集57(過去作品) 作家名:森本晃次