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わたなべめぐみ
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音楽徒然

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2019.06.30 バスクラリネットのこと(役割とその後)



バスクラリネットは主に中低音域を担当しています。
高音域と主旋律を担当するクラリネットと同じフレーズはめったになく、どちらかというと金管楽器のユーフォニュウムやチューバ、バリトンサックス、コントラバスなどと同じフレーズを吹いていることが多かったです。

なのでパート練習もバスパートを根城にして、時々クラリネットパートに出張していました。


楽器の構造はクラリネットとほぼ同じなので、楽器の吹き方を教えてもらうときは、クラリネットパートの二年生を頼りにしていました。

全体演奏で座る場所は学校によって色々ですが、私は指揮者より右側の二列目の端、バリトンサックスの隣で、うしろにチューバとコントラバスがいる場所でした。
他の学校に合同練習にいったときは、クラリネットのうしろや、中低音木菅楽器(オーボエ、アルトクラリネット、バスクラリネット、ファゴット)で中央に固められたこともありましたが、最初から低音が好きでバスクラリネットを吹き始めた私は、バリトンサックスとチューバに挟まれたポジションの方が吹きやすかったです。

吹奏楽のマーチングなどはチューバに隠れて全く目立たない楽器なんですが、時々おそろしいほど美味しいフレーズがあったりします。
バスクラリネットは他の楽器にはない柔らかくふくよかな低音と、音量をギリギリまで絞ってもしっかり低音を響かせられるという特徴があり、バスクラリネット以外ふさわしいものはない、というフレーズが登場したりするんです。
主旋律というよりはカウンターメロディ(合いの手)だったりすることが多いんですが、私が高校二年のときに吹いた「風紋」という曲は、美味しすぎてこんなの本番で吹けるのかとびびったりしたものでした。

一年に一回あるかないかの美味しいフレーズに打ちのめされて、バスクラリネットから離れられない方も多いのでは...と思います。

全体演奏では目立たない存在ですが、木菅楽器の貴重な低音が鳴り、金菅楽器とのゆるやかな調和を担っている楽器です。
クラリネットのアンサンブルでは本領発揮でブイブイと吹きまくります。
中低音楽器だけれど早いパッセージも吹けて、和音のつなぎめになることもあり、ベースラインも吹ける、そんな万能楽器でした。

私が使わせてもらっていたものはビュッフェ・クランポン社のものだったので、いい楽器だったと思うのですが、年式が古く、こまめにメンテナンスに出さないとすぐバランスが狂ってしまう困りものでした。
(もう一本あったのですが、劣化が激しくとても使えませんでした)

クラリネットの先輩につれられて、よく心斎橋の楽器店に足を運んでいました。
手がかかるほど可愛い、というもので、三年で卒業するときは本当に寂しかったです。

その後入学した後輩に明け渡し、余所から借りてきたバスクラリネットを吹いていましたが、大学のジャズ研究会での活動が忙しくなり、大学一回生の終わりに出た定期演奏会が最後のバスクラリネット演奏となりました。

きっと今、吹く機会があっても吹けないだろうなあ...と思います。

魅惑のバスクラリネット--私にとっては青春時代のほとんどを捧げた楽器でありました。

(余談:表紙に写っている楽器がバスクラリネットです。連結部分が本体だけで3ヵ所あり、上下菅、ベルの部分と連動しているキイがたくさんあるバランスの難しい楽器でした。立って吹くことはあまりなく、座った状態で足の間に立て、エンドピンを床について吹くのが主流でした)

作品名:音楽徒然 作家名:わたなべめぐみ