小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

すきま 探偵奇談18

INDEX|6ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 


「瑞、顔色悪いぞ。大丈夫か」
「ああ、うん…平気」
「そんな心配しなくても、ちゃんと帰れるって。飲むか?」

夕島がペットボトルを差し出してくれる。よく見るパッケージ。それを見た途端、瑞は猛烈な喉の渇きを覚えた。ありがとう、とそれを受取ろうとしたとき。


ピリリッ


「うあ、なに?」

大きな電子音が響き、夕島とともに瑞は驚く。瑞のスマホが鳴ったのだ。

(俺の設定してある音じゃない。こんな大音量にしてないし…)

それにここは圏外のはずだ。なのにメールが届いている。それも。

(…兄ちゃん?)

紫暮(しぐれ)からだ。兄とは滅多にメールのやりとりなどしない。珍しいというより嫌な予感がする。

「なに、メール?圏外じゃなかったっけ?」
「…電波ってたまに復活したりするから、それかもね」
「誰から?」
「…迷惑メールだよ」

素早く文面を読み。瑞はスマホを制服のポケットに仕舞った。迷惑メールだと嘘をついたのは、兄から送られたそのメッセージがあまりに不可解だったからだ。怖い。なんだこれは。


『瑞、夕ご飯の時間だよ。早く帰っておいで。そちらのものを口にしては駄目』


なんのつもりなのだろう。そもそも兄とは離れて暮らしている。一緒に夕ご飯を食べられるわけもない。それともこちらに来て、祖父とともに瑞の帰りを待っているのだろうか。もしもそうだとしても、最後の一文の意味が全くわからない。

わからないのに。

(何かおかしい…ここは、何だろう?)

何か危険な感じがするのだ。
夕焼けの風景も。
誰もいないホームも。
利用者のいない自動販売機も。

そして隣にいる、この――

(…考えちゃだめだ)

指先がすうっと冷たくなる感覚。夕焼け。沈まない、日。知らない駅。
そちらのものを口にしては駄目。飲むな、ということ?兄からのメール。こない電車。

作品名:すきま 探偵奇談18 作家名:ひなた眞白