短編集50(過去作品)
梨乃は自慢したいタイプの女性だった。翌日から急によそよそしくなるのも、男性との情事を自慢したいがための気持ちの表れだと考えると、軽い気持ちで雅美に話したに違いない。
見た目以上に純粋な雅美は、今までの気持ちを抑えきれなくなって自殺したのだと思うと、その気持ちも分からなくもない。
酔いが深まってくる中で、さらに身体に熱さを感じてくるが、匂ってくるのは、バラの香りのカクテルであった。
ワインカラーに染まったカクテルの、向こうに見えてくる雅美の妖艶な表情は、いつまでも変わることがないように思えて仕方がなかった……。
( 完 )
作品名:短編集50(過去作品) 作家名:森本晃次