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コート・イン・ジ・アクト6 クラップ・ゲーム・フェノミナン

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予知システムのある世の中で前提のテロをやるからには、軽い気持ちのはずがない。仕掛ける場所が野球場かなんかだったらともかく、ここは大きな病院だ。屋上にヘリポートがあるほどの。
 
空中に浮かぶヘリからおれ達はそこに飛び降りた。受け身を取って転がりながら、四人が四つの方向に散る。
 
ヘリは屋上から1メートルばかりの高さの宙を滑るように移動して、すぐ空へと上がっていった。
 
それまでローターの轟音で聞こえなかった周囲の音が耳に入るようになる。屋上まで聞こえてくる声は騒然たるものだった。
 
鳴き声に叫び声。家族の名を呼ぶ声に警官や医者の怒鳴る声。
 
これは違う――あらためて思った。今日のこの一件はただの愉快テロじゃない。病院。それも産科なんかに爆弾仕掛けやがるとは。
 
ゲンジョウがこういう具合になるってことがわかっていてやったのか? これが元で死期を早める老人や、傷を悪化させるケガ人や、治るものも治らなくなる病人が大勢出るかもしれない。
 
どころか、流産する赤ん坊。生まれたばかりですぐ死ぬことになる嬰児まで何人となく出るかもしれない。
 
そうと知っててこの事件を起こしたのか? この騒ぎをどこかで笑って見てるのか? ならばそいつは愉快テロ犯などではない。そんなものでありはしない。
 
おれは思った。そいつは紛れもなく――。
 
凶悪な正真正銘のテロリストだ。