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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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「瑞?」

そばで小さく呼んでみる。

「…ばあちゃん」

かすれた声でそんなことを呟くものだからたまらない。死んでも尚、手の届かぬ所へ行っても尚、弟は祖母をよりどころにしているのか…。
自分はもっともっと、この弟に寄り添ってやるべきだったのだ。突き放して強くなれと背中を叩くのではなく、同じように屈みこんで、視えないものに目をこらしてやるべきだった。たとえ、瑞と同じものは視えなくとも、だ。
弟は強くなったと思う。家族のもとを飛び出して、自分の意思を貫くためにここへ来た。でも、祖母を失った喪失感に、本当の意味で自分達は寄り添ってやれなかった。

「瑞、」
「…うーん!」

汗ばんだ前髪をかきあげてやると弟は不機嫌そうに唸った。やめろというように手を振り払われ、紫暮は苦笑する。頭を撫でさせてもくれない。それはいつだって祖父母の役目だったっけ。

「大きくなったなあ」

もう、あーだこーだと言わずとも、弟は自分で自分の道を行くのだ。厳しく接してきたのは、結局紫暮自身が弟を信じてやれなかったからだ。いつまでも弟ではない。一人の人間として認めて、信じてやらなくてはいけないのだ。弟離れしなければいけないのは、自分の方か。

「…ごめんな」

しんどそうに眠っている弟に一言詫びる。聞こえていなくてもいい。これは紫暮の自己満足だから。





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