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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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「…ばあさんは、よく言ってたよ。瑞には、怖い怖いと目を背けるだけの子になってほしくないって。そこにある悲しさや苦しさに、寄り添ってやれる心を持つ優しい子になってほしい。耳を塞いで目を閉じて通り過ぎるのじゃなく、一時でも立ち止まってやれる、そんな子になってほしいって」

祖父はそう言って笑う。紫暮はそれを聞いて、胸を突かれる思いだった。

「俺はそんなふうに願ってやれなかったな…」

ここへきて、兄としての自信を喪失してばかりだ。後悔ばかりが募る。

「紫暮は、そのままでいい」

祖父は言った。

「わたしは、人には役割というものがあるのだと思うよ。ばあさんが瑞と同じ力を持っていたのは、その力が良い方へ働くよう導くためだったのじゃないか。紫暮は、ばあさんとは違うやり方で、小さい頃から瑞を導いてくれた。きっとあの子の生き方に、土台として残っていくはずだ」

そうなるといいな、と紫暮は思った。押しつけがましい兄として願うのは、やはり弟の幸福だ。それは、祖父も、祖母も、同じだ。幸せになってほしい。それだけは、家族全員に共通しているはずだから。

「おまえももう休みなさい」
「じいちゃん、ありがとう」

ほんの少し軽くなった心で祖父に告げた。自分は大人になった気でいたけれど、どうやらそうではないらしい。そんなことを思うと、なんだか情けないのに嬉しい気持ちになってくる。

瑞の部屋に立ち寄ると、弟は少し寝苦しそうにきつく目を閉じていた。少し熱があるようだから、しんどいのだろう。