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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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兄と弟



すべてが終わった。若菜は安堵からかしゃがみ込んで深く息を吐いている。

「よかった…おばあちゃんに報告してあげないと」

もう得体の知れない何者かが、彼女を訪ねて来ることはないだろう。瑞もとりあえず安堵する。紫暮と並んで前を歩く若菜の足取りはずいぶん軽くなっている。

「颯馬、ありがとう」
「いいよいいよ。俺の方がいつもお世話になってるんだからー」

颯馬から得たヒントが解決に結びついた。今日のところは素直に感謝しておく。

「ところで、瑞くんと郁ちゃんって何かあった?」
「え」

颯馬はいつものように機嫌よさそうな横顔を見せたまま続けるが、郁の気持ちを知っている瑞は、わずかに動揺してしまう。

「あったんだ?」
「ないよ。おまえこそなんでそんなこと聴く?」
「だって、この頃郁ちゃん、つらそうだから」

…つらそう?
それって、俺のせい?

「俺は別に、一之瀬、に…」
「うん?」
「いや…あれ?」

瑞の足元がぐらりと揺れた。地震かと思ったがそうじゃない。自分の身体が揺れているのだ。

「瑞くん、どうしたー?」

立って居られない。吐き気と眩暈。

「…みぃちゃん!」

若菜の呼ぶ声がする。瑞、と呼びかけ腕を掴んでいるのは紫暮だろうか。でも、もう意識が保てない。




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