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つくづく自分は、兄と面を向かって話をするのが苦手なのだと感じる。こうでもしないと相手の思いを知ることも出来ないなんて。

「きっと瑞は、怖かったと思うんだよ」

紫暮が小さな声でそう続けた。
そうだ、瑞はずっと怖かった。理解されないから、怖がるのも隠してきた。祖母が死んでからは、今だって怖いと思うことがある。

「そうか。お兄さんは、後悔してるんですね。瑞くんが視て、恐れている世界を知ろうとしなかったことを」

颯馬のお気楽な声に返す紫暮の声は、心なしか沈んでいるように聞こえた。

「してる。そばにいてやれたらよかったのに、それももう叶わない。あいつの方が先に、甘えることをやめて、大人になったからね」

兄は、後悔しているのか…。
言われてみればそうなのだ。瑞はもうどうやって兄に甘えていいのかわからない。
だけど後悔は瑞も同じだ。もっと自分を理解してもらおうと、躍起になってもよかったのだ。どうせわかってくれないだろうと、関わり合うことを放棄した。自分が、弱かったから。

「大人かなあ。瑞くんっていつまで経っても子どもみたいですけどね〜」

颯馬の野郎…。そうかなあ、と紫暮が噴き出している。

「そうですって。実際部活の先輩にはベッタリだし、激烈甘えてるし。ねえ瑞くん！」
「ウゲッ…！」

気づかれていたのか。ばつが悪いではないか颯馬め。