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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

INDEX|42ページ/57ページ|

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夢の淵の成約



「あらっ、みぃちゃん、紫暮くんも」

若菜と紫暮、そして助っ人の颯馬を伴って麻生家を訪れると、若菜の祖母である麻生百合(ゆり)が出迎えてくれた。元気そうだった。足腰はまだしゃきっとしているし、退院直後だというのに台所に立っている。若菜が慌てて駆け寄った。

「無理しちゃダメだよ、おばあちゃん」
「平気よ若菜。ごめんね迷惑かけちゃったねえ。お母さん仕事に戻ったから、今日はばあちゃんがごはん作るからね」

昔から変わらない、世話好きで孫思いな姿だ。

「元気そうでよかった。実はねばあちゃん…」

瑞は一通り、若菜の身に起きている出来事を語る。足りない部分は紫暮が補ってくれた。

「…いやだ、そんなことがあったの?怖いわ」

お茶を淹れる手を止めて、百合が青ざめた面を上げる。

「おばあちゃん。でもこれって変質者とかじゃなくて、この家に関係することだと思うの」

若菜は、自分が見たという夢の話や、桜にまつわる話を続ける。百合は不思議そうに聞いていたが。

「…桜の、巨木?」

やがて口元に手をあて、一点を見つめた。何か、思い出そうとしているかのように。

「…待って、わたし、知っているかもしれない。ええ、その話を知っている」