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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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「いや、違くて。あの、なんか、わかっちゃったんです。そうとしか言えないんだけど…」

彼女の態度や瑞への接し方を見ていれば、身近な人間ならば気づくはずだ。瑞だけがずっと、「あいつの好きなやつって誰っすかね〜」なんてのんきなことを言っていたのだ。それがわかってしまったというからには、郁から何かアクションがあったのかもしれないと伊吹は思ったのだが、どうやらそうではないようだ。漠然とした想像がついた、という程度らしいが、それでも瑞が大いに戸惑っているのはわかる。

瑞の想像は当たっている。
しかしここで自分が郁の思いを伝えてしまうのはフェアではないと思う。

「俺には一之瀬の気持ちはわからないけど」

そうですよね、と瑞は言う。一之瀬の好きなやつはおまえだよ、と誰かに言われて確信したかったわけではないようだ。ただ、何か不安で、戸惑っていて、誰かにその胸の内を語りたくなっただけらしい。こんなとき伊吹は瑞を、より身近に感じる。寄り添ってやりたいと思う。悩んでいる友人の心を、少しでも軽くしてやりたいと。

「…俺どうしたらいいですかね」

混乱しているというか、不安でたまらないと言った表情で彼は零す。女の子に思いを寄せられることは初めての経験じゃないにしろ、その相手が大切な部活の仲間であることに戸惑っているのかもしれない。

「俺、一之瀬のことは大事なんです。本当に」
「うん、わかるよ」

大事にしていると思う。

「でも俺の大事と、一之瀬の大事は違うんですよね?俺が一之瀬のこと好きだなって思うのと、一之瀬の俺に対する好きは、違うんだと思う。恋愛感情って言われると、俺わかんないんです」