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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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若菜は、美しい桜の木の下に立っていた。月明かりに照らされた見事な夜桜だ。なんて大きな桜の木だろうか。見上げる巨木に、重たいくらいの花をいっぱいにつけている。樹齢は軽く100年を越していそうだ。

「綺麗…」

こんなに美しい桜を、若菜は見たことがない。風が吹くたび、花吹雪が舞って幻想的だった。吸い込まれてしまいそう。怖いくらいの美しさだ。単純に美しいというのは憚られるような。


「われの命はもう尽きる」


背後から、ざらりとした声が響き、若菜は全身を硬直させた。あの、声だ。毎晩若菜を訪ねてくる、あの声。なぜ…ここにいるの?


「いやだ」


振り返れない。声が徐々に近づいてくる。怖い。身体が動かない。
目の前で、桜の花がすべて風に消え、巨木はバキバキと音をたてて枯れ始める。早送りを見ているように。枝は折れ、虫が巣食い、幹は割れていく。


「朽ちるのはいやだ」


声がもう、背後まで迫っている。


「生きたい」


視界が漆黒に塗りつぶされる。





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