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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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こんなふうに笑っていられる日が、ずっと続けばいいのに。郁はそんなことを思いながら、伊吹と瑞とともに笑う。だけど郁が特別な気持ちを抱えている以上、このままではもういられないのだ。この関係だけでは満足できなくなる日が、郁には間もなくやってくると思うから。

(あ、だめだ)

今よりもっと欲張りになって、今よりもっと独占欲が強くなっていく。瑞のことを昔のあだ名で呼ぶ幼馴染の若菜にさえ、やきもちを焼いてしまうのだから重症なのだ。

(あたしがどう頑張っても、「須丸くん」以上にはならない。同級生でしかない…)

いつからこんな感情を抱えるようになったのだろう。特別じゃないと嫌だとか、一番でいないと意味がないとか。友だちでいいと決めたのは自分のくせに。

「一之瀬、どうした?」

黙してしまった郁を呼ぶ伊吹の声に、はっとする。

「あ、いえ、」

あたしいま、すごく嫌な顔をしている気がする。そう自覚したら、もうまっすぐに瑞の顔を見られなかった。

「あたし、帰らないと…失礼します」

逃げるように弓道場を去る。どうしよう、醜い感情に気づかれてしまったらどうしよう。絶対嫌われる。嫌がられる。雨の中を走る。どんどんと心臓が鳴って、息苦しい。勝手に悩んで勝手に飛び出してきた。変に思われたら。もしも気づかれてなかったら。

「あれっ、郁ちゃん?」

校門を出るとき呼び止められた。聞き覚えのある声。

「傘ないの?…って、ちょっとちょっと待って」!」.

颯馬だった。頭が混乱していた郁は、気づかないふりをして彼の隣を足早に通り過ぎようとしたのだが、腕を掴まれてそうもいかなくなる。

「なんかあったの、瑞くんと」

何もない。郁が勝手に考えて一人で混乱しているだけだ。だけど気遣うようなその声を聞くと、どうしようもなく悲しい気持ちになってくる。
話し聴くから、と颯馬が言う。そんなことを言われても、ぐちゃぐちゃの頭の中をどう整理して伝えていいのかわからない。颯馬はそんな郁の内心を見通してか、そのまま黙り込む。郁が落ち着くまで、待っていてくれているのがわかる。

雨の音がシトシトと囁くようにして、郁の心の中に沁み込んでくる。






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