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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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契約というのは、ヒトと神様との間には結構あるものなのだ。何かを捧げる代わりに、神の力を得る、というのが、古来からヒトと神の関係の主たるものだ。魔にそれが通じるかは謎だが、颯馬の想像だとその契約をきちんと守っているのだから、低俗な魔ではないのじゃないかと思うのだが。

「血の繋がりとか、縁のある死者とか?」
「それだとご先祖様とかでしょ?そういうひとに対してはいつでも家って開かれたものじゃない?俺はお寺の子じゃないから、そのへんはわかんないけど。やっぱ、一応許可をとろうとするところで死者とか魔とは一線を画してる気がするんだよねえ」
「…神様ってことか?」
「ある程度理性的だもん。まあ契約っていうのが当たってると仮定して、人間と契約するのは身近な神様だと思うけど。家主と契約する神様といえば…」

颯馬は自分の考えを並べていく。

「家を建てるときの土地の神とかかなあ?」
「そいつは家にあがって何をしたいんだと思う?」
「そりゃあ、訪ねていった子の命が欲しいんだよ。若菜ちゃんだっけ?」

颯馬があっさり言うと、瑞は顔を歪めた。

「命…」

吸血鬼だってそうじゃない、と言い添えると、瑞はますます困惑したようだった。

「じゃあ、何があっても入れちゃだめだよな?」
「それがいいと思う。開けてくれるのを待ってるんだから。だけど、そうやって訪ねて命を欲しがるのは、絶対に家主との間に何らかの約束があるからだ。家主は何してるわけ?」
「身体を壊して入院してるんだ」
「じゃあ、こんなこと言うと不謹慎だけど、そのひとがもし死んじゃったら契約解除になっちゃうかも。約束が生きているうちは入ってこられない。それが失効されたときはどうなるかわかんないよ。聞いた方がいいと思うよ、家主に。身に覚えはないかって」

そうか、そうする、と瑞はそう言って立ち上がった。