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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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何を意味しているのだろう…。

「――おまえ大丈夫か?」

居間から出て自室に戻ろうとしたとき、風呂場から出てきた紫暮に声をかけられた。

「え?」
「いま、うなされてなかったか?若菜ちゃんの家でも具合が悪そうだった」

別に、と愛想なく言って自室の戸を開けた。

「あの子を訪ねてくるのは、化け物なのか?」

紫暮の言葉がさらに追いかけてきて、瑞は思わず振り返る。

「化け物なんているわけないだろ、信じてない癖に…!」

自分でもびっくりするくらい尖った声が出た。紫暮も少し驚いたような視線を向けてくる。それきり何も言わせないよう、瑞は部屋に入って戸を閉めた。

(今更、わかってもらおうなんて思わない…)

子どもの頃のことを思い出す。瑞は、「視える子ども」だった。だけど、家族の他の誰も、視えなかった。母も、父も、兄も、姉も。祖母だけが、瑞と同じものを視て、その恐怖や疑問を共有してくれた。

紫暮は、視えないものが見えるという瑞を理解しなかった。当然だと思う。
年が離れているけれど、甘やかされた記憶は一切ない。忙しい両親に変わり、兄は自分に父親のように接していたのを覚えている。幻想の世界に逃避して、現実を直視しない子ども。常識人で現実主義な兄には、瑞がそんなふうに映っていたのかもしれない。