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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

INDEX|25ページ/57ページ|

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「入れてはいけない」
「…だめ!」

若菜の言葉に、影が反応した。


「青いのはトゲですか」


意味不明の返答の後、またしても。


「入っても、いいはず、です」


だめ、だめ、だめと若菜が絶叫する。

「絶対に入ってこないでッ!!」

この家に入りたいと、そこだけは明確な目的を持っているようだ。気味の悪い返答と言葉には意味などなく、の影はこの家に入ることだけを目的としている。そういう気が、瑞にはした。


「やくそくしたのに」


そう呟き、影は離れていった。瑞を取り巻いていた気味の悪い感覚が、頭痛とともに消え去る。正常な空間が戻ってくる。大丈夫、もう危険はないはずだ。

「…消えた」

瑞は玄関に駆け寄って勢いよく開けた。誰もいない、何の気配もない。

「あたりを見てくる。瑞、若菜ちゃんを連れてじいちゃんのところに戻ってろ」

紫暮が足早に夜の中に消えていく。

「あいつ、うちに入りたいの…?」

呆然と呟く若菜。麻生家に入ることに執着している、訪問者。なんのために?

(…なんの香り?)

闇にふわりと、懐かしいような微かな香りが舞っている。それは一瞬のことで、すぐに霧散してしまった。

若菜は迎えに来た母親とともに家に帰って行った。あのあと近所を見回った紫暮だが、誰もいなかったという。あれはやっぱり人外の者だ。瑞にはわかる。



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