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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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「みぃちゃん、お願いがあるんだけど」

瑞と皿を洗っているときに、若菜が話しかけてくる。

「なに?」
「来週提出する課題のテキスト取りに帰りたいんだけど…一緒に来てくれる?今日、お母さん残業で遅いっていうから片付けちゃいたいんだ」
「いいよ。一緒に行く」

その旨を祖父に伝えると、紫暮も同行することになった。くれぐれも危険がないようにと言い添えて見送られ、三人で麻生家を目指した。

「夜はまだ寒いな」
「もうすぐ春なのにね」

懐中電灯の光を頼りに坂道を登っていく。どの家にも明かりが灯り、団欒の声が聴こえてくる。一本道をそれて田んぼを横切ると、畑と雑木林に囲まれた麻生家が見えてくる。懐かしいなと瑞は感じる。子どもの頃、夏休みに帰省した子ども達で、麻生のおばあちゃんの家でスイカを食べたり昼寝をしたりしていたっけ。子どもの頃の記憶が少しずつ蘇ってくる。

若菜は鍵をかけて玄関を開けた。真っ暗だ。電気をつけると、古い日本家屋が浮かび上がる。

「えっと…」
「二階?一緒に行くよ」
「ありがとう」

ギシッと大きな音をたてて階段が軋む。古い家だ。だけど温かみがある。むき出しの木の梁とか、障子の色合いとか、古いのに汚くはないし風情があった。きちんと手入れをしているのだろうなと瑞は思う。全然廃れた雰囲気がない。

「おまたせ」

部屋の中からテキストを抱えて戻ってくる。帰ろうか、と紫暮が階段を降り始めたとき、瑞の感覚に異変が起きた。