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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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駅前通りのドラッグストアで、生活用品を買い込む。兄はあれやこれやをかごに入れながら、おまえさ、と話しかけてきた。

「女の子をあんなふうに睨むもんじゃないよ」
「睨んでないし…!」

瑞は慌てて振り返る。郁と一緒だった先ほどの場面を言っているようだ。確かに言葉に詰まってうろたえはしたが、睨んでなんか…。

「いや、無言でジーッと睨んでた。かわいそうに硬直してたよ、一之瀬さん」

そんな、と瑞は落ち込む。そんなつもりじゃなかった。ただ、何か話さなくちゃと思って、だけどうまく言葉に出来なくてもどかしかっただけで。祖父から預かった買い物メモに目を落としながら、郁のことを考える。

(なんだかうまく喋れない…)

意識するなというほうが無理なのだ。だけど、それでも、あの子の気持ちを考えたら、今まで通りに振る舞ってあげるべきなのだ。それさえできない。挙句の果てに睨んでたなんて。そんなつもりないのにそう見えてしまうのか。最低だ。郁はどう感じただろう。

バスに乗って家に帰ると、すでに若菜が来ていた。約束通り、学校帰りにそのまま来たのだという。心なしか、昨日よりも顔色が明るい。うちに頼れるということがわかり、安心しているのだろう。

「おかえりなさい。お邪魔してます」
「若菜ちゃんが手伝ってくれてカレーが出来てるよ」

賑やかな夕食が始まる。いつもは瑞と祖父の二人だから、こういう夜は珍しいのだ。祖父も嬉しそうであり、瑞も自然と笑顔になる。祖母が亡くなってから塞ぎがちであった祖父を何とか元気づけたくて、そばにいたくて京都を飛び出してきたが、迷惑だったかもしれないと悩むときがないわけじゃない。だけどこうして孫(プラス若菜)に囲まれて楽しそうにしている祖父を見ていると、自分にも出来ることがあるのかもしれないと希望が持てる。