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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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あの夜以来の二人きりだ。喉が詰まりそうなくらい緊張する。瑞はといえば、彼もまた何か考えているのかいつものような会話がない。何となく去るタイミングを逸してしまった。郁は手落ち無沙汰なまま佇み、瑞と同じように空を見上げる。真っ黒い冬の夜だが、雲の切れ間から一つだけ星が見えた。

「一之瀬さ」
「はいっ」

突然呼ばれて郁はどきっとする。瑞がこちらを見て、何か言いたそうにしている。何だろう、と郁は不安になる。じっと見つめてくる瞳。暗がりなのに、その中に小さな光が見えて吸い込まれそうだ。沈黙に息が続かない。酸欠になりそうだ。そのとき。

「瑞、お待たせ」

紫暮がやってきて、瑞の隣に並ぶ。郁はホッとした。沈黙が消えて、やっと呼吸が出来た。瑞はついと視線を逸らすと、兄には何も答えず歩き出す。

「ごめんね、邪魔したかも。二人は付き合ってるの?」
「だ、大丈夫です!付き合ってもないです!すみません!」

慌てふためく郁に少し不思議そうな顔をして、紫暮が手を振る。

「気を付けてね」
「…はい、さようなら」

遠ざかる背を見送り、郁は大きく息を吐いた。

(なんか、須丸くんも、変…?)





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