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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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悠久に舞う 探偵奇談17

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「自治会や消防団に、見回りをしてもらったほうがいいかもしれない。おかしなヒトがうろついていると報告しておくよ」

祖父はそう言うと電話を掛けに行った。村のコミュニティーというのは非常に密であり、結束も強い。助け合って生きているのだ。村には小学生も多いし、警戒するに越したことはないだろう。

「気持ち悪いな。なんなのそいつ…」

瑞は感じたままの嫌悪感を言葉にする。暴力的な行為に出るわけでもないし、脅し文句を繰り返すわけでもない。だけど確実に若菜に対して不快感や恐怖を与えている。

祖父が戻ってきた。

「自治会の方には、若菜ちゃんの家に来たみたいな不審者の報告はあがってきていないそうだ。見回りやら遅くまで遊んでいる子への声かけを強化してもらうようお願いはいておいたけれど」

若菜の家にのみ目的を絞って現れている。そういう印象だった。

「母ちゃんには言ったのか?」

瑞の問いかけに、若菜は首を振る。そうだろうとは思っていたけれど…。

「お母さんには言えない。心配、かけたくないの。あたしを育てる為に仕事いっぱいしてくれてて、早く帰ってきてなんて言えないもん」

涙をぬぐう姿に、胸が痛む。離婚した母親が、自分のために精一杯働く姿を見ているから娘なりに気を遣っているのだろう。母親のことが大好きなのだ。

「でも、このままじゃいけないよ。わたしからお母さんに事情を話して、夕方はうちに来るようにお願いしよう。問題が解決するまで」
「じいちゃんそれいいね。若菜ちゃん、そうしたほうがいい」
「でも…」

迷惑じゃないですか、と若菜は祖父を見た。