第八章 交響曲の旋律と
さぁっと、リュイセンから血の気が引いた。そういえば、斑目一族を壊滅状態まで追い込んだのは、クラッカー〈猫(フェレース)〉だ。
「けど、俺が欲しいのは『居場所』だ。強硬手段を使って従わせるんじゃ意味がない。だから、お前に認めてもらう必要があった」
強い瞳が――強い魂が、まっすぐに向かってくる。
ルイフォンは、リュイセンの年下の叔父で、弟分で。それより何より『ルイフォン』なのだ。
胸が熱くなる。
「お前を認めるよ。鷹刀の一族ではなく、鷹刀と対等な〈猫(フェレース)〉として――」
リュイセンは右手を差し出した。四年前に迎えに行ったときと同じく。けれど今度は、一族としてではなく。
ルイフォンも覚えていたのだろう。握手をかわすのではなく、リュイセンの掌に拳を打ち付けてきた。
小気味よい音が響く。
「おかえり。よく帰ってきたな」
リュイセンは心から、ルイフォンとメイシアを迎え入れた。
作品名:第八章 交響曲の旋律と 作家名:NaN