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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16

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つい先日まで、瑞はインフルエンザで出席停止だったのだ。母に「インフルかも」と連絡したら京都からすっ飛んできて、「じいちゃんにうつしたらぶっとばす」と完全隔離で看病された。熱が下がってしばらくして、一週間ぶりに出席許可がおりたときには、世間ではバレンタインが終わっていた。

「そういや一之瀬は、バレンタインにチョコレートあげたの?」
「へっ?」
「チョコ」
「あ、ええとね、一年女子みんなで弓道部と主将にあげたよ?」

すうーっと視線を逸らして郁が言う。そうじゃなくて、個人的に本命のひととかにあげたかどうだか聞いているのだ。郁は、好きなひとについて深くつっこまれたくないような素振りを見せる。瑞はいつも話を逸らされる。だからって瑞には、そこを深く切り込んで話を聞きだす権利はないのだが。

「…俺もらってないよ、ソレー」
「インフルエンザだったんだから、仕方ないよ」

なんか面白くない、と口を尖らせる。別にチョコレートなんて好きじゃないしどうでもいいのに。

「ら、来年また作ったげるよ」

視線を逸らしたまま郁がそう言う。

「な、なんてね。アハハ、ハハ」
「あ。うん。あの、ありがと」
「どどどういたしまして」

なにこの空気!なんで俺が恥ずかしいの。
しばし沈黙してそわそわとペン入れを触って郁が、そうだ、と顔を上げた。

「そ、そういえば伊吹先輩にCD借りたの。須丸くんこれ聴いた?」
「うん」