小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16

INDEX|19ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 


スマホからではなく、すぐ近くで郁の声が聞こえ、瑞は驚く。郁が手を振って駆けてくるのが見えた。

「一之瀬、なんで!?」
「すっごい偶然!あたし、駅前のカラオケにいたから。電話しながら歩いてたら、須丸くんいるんだもん。びっくりしちゃったよ!」

心底嬉しそうに話す彼女の鼻の頭が、寒さのせいか赤くなっていて、かわいいな、なんて思う。かわいい。見慣れない私服だから?いや、違う。

(どうした俺)

瑞を見つけて、駆け寄ってきて、嬉しそうに笑っている。それだけで、なぜかわいいだなんて思うんだろう。嬉しいなんて感じるんだろう。見慣れている彼女の笑顔が、今日は特別なものに思える。不思議だ。迷子の自分を探しに来てくれた、そんな安堵の感覚もあって。

「須丸くん?」
「うん、あ、ほんと偶然…」

瑞は笑顔の郁を前に言葉に詰まる。うまく喋れない。

「なんだよ兄ちゃん。かわいい子がいるんじゃないの。しゃーねえな。はい、やるよ」

中年がコートのポケットから差し出したのは、封筒に入った二枚の紙切れだった。

「え!?これ今日のライブのチケット?しかも二枚?」

ソールドアウトで、もう絶対無理って諦めてたのに!

「こんなおっさんの歌聴いてくれた礼だよ。一期一会ってやつだしな」
「でも自分でコピーしちゃうくらい好きなバンドでしょ?」

賭けだったんだ、と中年は言った。