小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16

INDEX|12ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 


「ママがお店してるから、おいでよ~」

兄妹の母親は手作りアクセサリーの店を出していて、兄から瑞の話を聞いていたく恐縮した。ビーズや毛糸、ボタンで作られたヘアゴムや指輪、ブレスレットなんかが並んでいて、若い女性が集まっている。

「本当にありがとうございます。この子はもう、兄の言うことを全然聞かないもので」
「いいんです、気にしないで下さい」

それじゃあ、と去ろうとしたとき、兄の方が瑞に何かを手渡した。

「お礼に…って、こんなもので失礼かもしれないけど、よかったらもらってください」
「レシート?」
「駅前商店街で福引きやってるんです。大当たりは海外旅行。俺興味ないから。ニンテンドースイッチならよかったのになあ」

ニンテンドースイッチ…今どきの子だなあ。

(みかんが福引券に変わった。これってわらしべ長者?)

昔呼んでもらった絵本を思い出し、瑞は笑ってしまう。じゃあこの福引券つきレシートで、特賞海外旅行が当たっちゃうのか?

「あたしからはねえ、これ!」

妹の方は母親の店の商品の中から、かわいらしいピン止めを一つ選んだ。シルバーのピンの先に、淡いピンクのガラスストーンがついていて、小さな花の形を作っていた。それを母親が手作りの紙袋に入れてくれる。

「悪いですよ、商品なのに…」
「いいんです、お礼の気持ちですから。彼女さんにでも上げて下さい」

そうして親子はにこやかに手を振ってくれたのだった。瑞は丁寧に礼を言い、その場を離れる。

(こういう出会いもあるんだなあ)

心が晴れ晴れするような出来事に、心が軽くなるのを感じる。




.