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WHO ARE ROBOT?

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 小説や特撮は、基本的にロボットの危険性について提起しているものが多い、ロボットが世の中のためになるという世界はあまりにも短絡過ぎて、物語としては面白くないものになってしまう。しかも、三原則を原点にして発想を膨らませることで、小説の幅を広げるのは他の発想に比べると難しいことではないのかも知れない。何しろ、三原則を提起したのも、元々が小説だったからである。盗作というわけではないが、スピンオフやリスペクトなどという発想で、いくらでもロボットに関する話が生まれてくることだろう。
 特にロボットに心を与えることでロボットが人間のように悩んでみたり、恋愛感情を起こすことで、ロボットが人間になりたいという思いを抱くという、反対の発想が生まれてくる作品も生まれてきたりした。
 三原則の話が生まれてから、二十年ほどは日本でも、たくさんの特撮や小説が生まれた。今でも残ってはいるが、新しさという意味では色褪せてしまってはいる。しかし、それも無理もないことだと思う。ロボットに関しての興味はずっと持たれていたのに、実際にロボット開発が行われたとは聞こえてこなかったからである。
 逆に特撮は開発が遅れていたこともあって、ずっと同じ発想であっても、問題はなかった。特に特撮は子供の視聴者が多く、大人になるにつれて見ることはなくなってくる。
 そのため、次世代の子供が世代交代として見ることになるので、前の時代のことを子供が分かるはずもない。そのまま何年も同じ発想であっても、別にかまわないのだ。
 だから、ロボット工学の進展のなさは、特撮関係者にとってはありがたかったのかも知れない。何十年も続いている「○○戦隊シリーズ」が生き残っているのも、そのためであろう。
 ただ、まったく進歩していないわけではない。俳優の選別や映像技術の発達により、見た目としては発展しているであろう。しかし、発想は昔のまま、そう思っているのは、そんなに少なくはないかも知れない。
 ロボット工学は、そんな特撮の、
――伸び悩み――
 から、研究も発展していない。
 元々の発想は、どうしても、
――超えられない壁――
 が存在していて、まるで結界のように見えているはずの目の前に手が届きそうで、絶対に超えることができないものであったはずだ。
 それを特撮が後押しする形になり、そのまま研究もできなくなる。完全な悪循環に見舞われてしまっていた。
 しかも、コンピュータの研究がロボット工学の伸び悩みとは裏腹に、ある時いきなりブレイクしたことで、猛烈な勢いで発達した。それを誰が想像できたというのか、コンピュータの研究は世界的にも歴史的にも大きかっただろう。
 そこに国家としての研究が急務だったりもしたはずだ。経済、政治、軍事、それぞれに仮想敵が存在し、相手に勝るには、コンピュータの開発が急務だったのだ。
 コンピュータの開発はすべての国共通のテーマであるが、コンピュータの開発によって派生する、
――コンピュータを使った研究――
 が、それぞれの国家で熾烈を極め、その余波で、さらにコンピュータの開発を促進することにもなった。
――ロボット工学の悪循環とは正反対の繁栄――
 と言えるのではないだろうか。
 コンピュータとロボット工学は、成長という意味では正反対の道を歩んだが、それぞれに切っても切り離せない関わりがある。それがいつの間にかロボット工学研究を、少しずつだが促進することになるとは、コンピュータ最盛期の時代には、想像もつかなったに違いない。
「ロボット工学の研究なんて、忘れていた」
 と感じるくらいに、完全に研究が停滞し、風化してしまっていた時期が存在していたのも事実だった。
 K大学の真田は、大学入学の時からロボット工学の勉強を目指していた。
「ロボット工学って、お金にはならないぞ」
 という人の話も聞いていたが、
「研究所に残れれば、それはそれでいい」
 と話をしていた。
 確かにロボット工学の研究所はそれほど多いわけではない。国家予算の額は大きくとも、一つの研究に掛かる単価は決して安いものではない。それだけに、研究所も最初はいくつもできたが、途中から統廃合を繰り返し、限られた数になってしまった。
 研究を志す人も少なくなってきて、今では最盛期の五分の一にも満たないくらいになっている。
「だから我々は、精鋭部隊なんだ」
 と、少数精鋭を喜んでいるのが研究員たちで、口には出さないが、他の学問の研究員とは明らかに違っているということを、ほとんど全員が思っていた。
 真田は、そんな研究員や教授たちの気持ちを読み取ることで、自分の研究への気持ちが少しずつ冷めてくるのを感じた。
 確かに研究員は自尊心が人より強くなければいけないと思ってはいたが、それも口に出さないだけで露骨に感じているのを見ると、自分もそうなってしまうことへの懸念を感じるのだった。
 真田は大学二年生の頃から、心理学に興味を持ち始めた。心理学とロボット工学とではまったく違う学問のように最初は感じていたが、三原則を考えてみると、
――三原則だって、しょせんは人間が自分たちを守るために考えたものなんだ――
 と思うことで、人間のエゴを思い知らされた気がした。
 特撮や、フランケンシュタインの発想だって、人間のエゴがあるからこそ、ドラマになるのであって、それをロボット側から見るのか、人間の側から見るのかによって、ストーリーはまったく違ったものになる。
 ただ、
――それぞれの正対する立場から見るとしても、まったく正反対の発想に行き着くわけではない――
 と真田は考えていた。
――立場の違いを見る方向だけで考えることは、本当に正しいことなのか――
 ということを真田は考えるようになり、その思いが心理学への思いへと駆り立てるのだった。
 真田が心理学の勉強を始めたのはただの好奇心からであった。しかもその好奇心を与えてくれたのは、高校から一緒だった女の子の影響だった。別に彼女のことが好きだったというわけではなく、彼女の言動や行動に興味があったと言っていいだろう。
 高校時代から女友達の間でも浮いていた彼女は、彼氏がいるわけでもなく、彼女の話の奇抜さに、誰もが閉口していた。
 彼女の名前は幸田早苗と言った、彼女は友達と一緒にいる時はあまり会話に参加する方ではなかったようだが、急にいきなり何かを口にして、場を乱したり、しらけさせたりしていた。最初はそれでも皆大目に見ていたが、次第に彼女の言動についていけなくなり、彼女を避けるようになっていた。
「どうしていきなり誰も予期していないようなことを口走るの?」
 と、友達に言われて、
「そう? いきなり口走ったという感じはしないわ。確かに自分が口を挟むタイミングでなければ自分から何も言わないんだけど、ここぞって思った時に口を開いているだけなんだけど、それってどこかおかしいのかしら?」
 と、開き直りなのか、それとも天然なのか、彼女はあっけらかんとそう言ってのけていた。
 それを聞いた友達はあっけにとられているというよりも呆れていると言った方が正解なのかも知れない。
「でもね。まわりの雰囲気というのもあると思うのよ。空気を読めないと思われてしまうわよ」
 というと、
作品名:WHO ARE ROBOT? 作家名:森本晃次