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タイトルは終わってから考えます

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――――なんだ、こいつは。

それがボクが彼に抱いた最初の、それと『二番目の』感想だった。
正直その時のボクは呆れるのを通り越して、ちょっと唖然としていたとすら言って良いかもしれない。
ボクの書いた曲を演奏するベーシストと、その音のチェックをするボク。
その脇で最大級にマイペースで振る舞う彼の名前をボクは知っていた。
だけど、会うのはその時が初めてで、ならば彼はボクに挨拶をしてもしかるべきだったと思うんだけど、彼はいわゆる社交常識を完全無視してベースの音を聞きながら首を軽く横に振りつつリズムを取ったり、右足をペタンペタンと踏みならして演歌の小節回しのように首を振ったりしていた。
だからその時ボクは『どうするべきか』の判断に惑っていたと言える。
安いスタジオの仕事とはいえ、プロデューサー代行的な立場のボクとしては彼を叱責するべきか?
それとも代わりのドラマーを探すのも時間の浪費であることだし、ここは仕事と割り切って我慢するべきか?
そんなことを考えるボクの目の前で、彼は変わらず目を閉じてリズムを取るようにふにゃふにゃ身体を動かしている。
ベーシストがちらちらと困ったようにボクの方に視線を送ってくる。
それで、たっぷり2分かけてボクは腹を決めた。

――――彼は非道な礼儀知らずで、現場をあまりにナメ過ぎだ。

ボクは彼に向き直って、最初の一声としてなんと声をかけるか少し考えた。
その時、

「だいたい、分かったかな」

彼の口が小さく開いてそう呟いた。
それがまさに口を開こうとしていたボクへの見事な先制となり、一瞬ボクの喉が音を響かせることをためらった。

次の瞬間、