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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風鳴り坂の怪 探偵奇談15

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山から見下ろす町は、冬の穏やかな晴れ間の中にある。颯馬はそれを見下ろしながら、少女のことを考える。いまはもう寂しくないかな。逆に賑やかすぎて困ってたりして。そんなことを思って笑みが浮かんでしまう。

「ねー、天狗様も寂しいときとかあったりするのかな?」

そばに佇む白狐の化身に問いかけてみる。白髪の少女は、呆れたように笑ったのちで、いつものように生真面目な声で答えてくれた。

「ぬしは、そうであってほしいと思うのであろ?」

あ、図星さされちゃった。

「その方が、身近に感じられて愛おしく思えるからね」

自分の仕えている神が、無機質で非人間的で、決して分かり合えない存在だと思いたくない。いまこのときも、人間たちを思い、憂い、心を痛ませたり悩んだりしている。それだけで、なんとなく嬉しいような気持ちになるのだ。

「まー天狗様はおっかないからさあ。それは期待しすぎって話かもしんないけどねー」

颯馬がそう言って笑ったとき。

「わ!」

背中に強い風が吹き付けて、颯馬はよろめいた。

「ちょっとー、意地悪やめてよね」

山の方を仰いで文句を言ってやると、狐がころころ笑った。

「悪口を言われて怒りよった。心外じゃと、そう申したいのであろ」
「なにそれ、心の狭い頑固ジーサンじゃん」