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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風鳴り坂の怪 探偵奇談15

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言ってケタケタ笑ってから、はっと我に返る。

「ウソですスミマセン!もうバチあてないで!」

慌てて山に向かって謝ると、またもや狐が笑う。人間めいたやりとりじゃ、と妙に嬉しそうに。この狐もまた、人間との間に信頼関係を結んでいるから、颯馬と天狗のやりとりが面白く、温かなものに感じられるのだろう。

「同じだよ」

颯馬は狐に言った。

「神様も人間も、大切なひとを幸せにしたい気持ちや、守りたい気持ちは」

きっとそうだ。そういう温かさを、身近さを感じられるから、颯馬はこうして、ここで今日も主の声を聞きたいと思うのだ。

「早く春にならないかな」

少女の眠る雑木林が花や鳥に満たされる様を思い、颯馬は呟いた。その言葉に応えるかのように、風が吹いて木々たちが囁くその優しい音に包まれ、颯馬は天を仰ぐ。冷たく心地よい風が通りすぎていく。

生きているのだということを、幾度も感じさせてくれる。

「知ってるよ」

木々のさざめきに混じって、鈴の鳴るような美しい音が聞こえてくる。

「どんなときにも、応えてくれること」


だから、ありがとう。
本当はいつも、感謝してるんだよ。



春はまだ遠いが、颯馬たちは知っている。

季節が廻れば山が目覚め、錦のように彩られる季節が約束されていることを。
悲しいことがあっても、つらいことがあっても、冷たい雨に打たれても、明日晴れたら、また生きて行こうと思えることも。







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