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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風鳴り坂の怪 探偵奇談15

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神の一刀



翌日の夕刻。颯馬は瑞を伴い、再び風鳴り坂を訪れていた。雪はやみ、空には星が瞬くのが木々の隙間から見える。不審者情報が町中を飛び交っているためか、通りにも坂にも、ひとの姿はない。

「祠を探せだって?」

瑞の言葉に颯馬は頷く。

「絶対にあるはずなんだ。あの子を祀った祠が。それはもう祠と呼べるものじゃないかもしれないし、もしかしたら別の形態かも。でもあの子を祀った何らかのものは、残されていると思うんだよ」

頼りになるのは、それぞれの持つ懐中電灯の光のみ。

「…昨日みたいなのが出てきたら、どうする?」
「えー?また水をかけるなり石投げるなりするから大丈夫!」
「ゲー」

坂をのぼり始めると、早速あの風の音が聞こえてきた。黒い雲に星が隠れ、あきらかに空気が変わっていくのがわかった。ざわざわと、風に雑木林の木々が揺れる。見られている感覚。昨日の夜と同じだ。

「…あの子、いる」

雑木林の入り口に、晴れ着の少女が立っていた。暗がりに、真っ赤な着物が光のように明るい。少女は林の奥を指さしていた。見つけてほしいのだ。颯馬は瑞とともに、暗い雑木林に分け入った。少女が走る。颯馬らはそれを追う。四方八方から視線、いやもう殺意だろうか。、禍々しい気配に囲まれているのを感じる。

「颯馬、逃げ場がなくなる」

瑞の声。冷静だ。

「うん、それも承知だよ。今はあの子を追いかける」