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永遠の命

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 と、教授に言われたらどうしよう?
 黒崎は自分が永遠の命を授かった時のことを考えた。
 まず頭に浮かんでくるキーワードは、「孤独」であった。
 そして、孤独という言葉を思い浮かべた時に、感じるのは、動物が死を目の前にした時に、他の連中に知られず、自分だけの死に場所を得ようとするのを考えた。
 と、そこまで考えた時、黒崎は自分の意識が遠のいていくのを感じていた……。

「死ぬことこそ、孤独という自由を得ることなのかも知れない」
 と感じたが、
「永遠の命というのも、同じものではないか?」
 と感じた。
「じゃあ、結論として、死ぬことと、永遠の命を得るということは同じことであり、孤独という自由を得ることなんだ」
 という三段論法を考えていた。
 その思いが頭を巡った時、目の前のカプセルの蓋が開き、それを覗き込んでいるのが高田だった。
「やっとお前も目覚めたか」
 その言葉を聞いて、自分が冷凍保存の機械からよみがえったことを感じた。
「ここはどこなんだ?」
「ここは、孤独という自由を得ることができる世界なんだ」
 表に出ると、機械で覆われた部屋にいることに気付いた。その向こうにはもう一つのカプセル。それが高田の入っていたカプセルだった。
「俺たちが手にしたのは、永遠の命なのか、それとも死なんだろうか?」
 と高田に聞くと、高田は黙って機械を操作していた。
 機械には、
「二○九八年五月一八日」
 と書かれていたが、高田がそれを指差して、
「もう、俺たち以外の人類は、この世には存在しないんだ」
 と言って、孤独な表情をした。
 しかし、その表情からは、寂しさは感じられない。
 そして、一言、
「生命学とは、心理学と科学の融合なんだそうだ。これは、新宮教授の最後の言葉だった……」
 いったいこの世はどうなってしまったのだろう?
 すべてが消滅してしまった今、自分たちが生きていた世界のことは永遠の謎になってしまったのだ……。

                  (  完  )



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作品名:永遠の命 作家名:森本晃次