春はまだ先 探偵奇談14
短い言葉とたったそれだけの労いだったけれど、郁にはそれがどんな励ましや褒め言葉よりも心に来た。一緒に悩んでくれた主将の優しさに、感謝してもしきれない。だけどこれがゴールではない。ここから始まるのだ。まだまだ努力しなければ。
「嬉しいです…」
「また泣くんだから」
葉山が笑って、タオルを差し出してくれた。郁はそれを受け取り顔を埋める。安堵と、嬉しさ。頑張ってきてよかった。ここにいられて、本当によかった。
「さあ、応援に行こう!次は副将のチームだ」
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作品名:春はまだ先 探偵奇談14 作家名:ひなた眞白