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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「おい、オマエ達と聞いて訊ねて、やっているのだ。オマエ達はコモンの人間だろう。タビヲン王国で何をしている」
スカイは、目を合わせずに無視して通り過ぎようとした。 
後ろに居る、兵士達がガンを飛ばしているが、無視して先に進んで、いこうとした。
その時、電子音が鳴った。
 スカイの携帯電話とも、マグギャランの携帯電話とも違う音だった。いや、スカイは宿屋を出るとき確かめて置いたが、タビヲンはフラクターと仲が悪いせいで携帯電話が繋がらなくて圏外になるのだ。ここでも携帯電話は使えないはずだった。デカイヘルメット頭が馬の鞍に付けられているカバンからトランシーバーを取りだした。そしてデカイヘルメットの下からトランシーバーを中に入れた。
何でトランシーバーを持って居るんだ?
 スカイは迷彩模様のトランシーバーを見ながら思った。つや消しの黒い文字でフラクターの紋章が描かれている。どうやらフラクター選帝国の軍用のトランシーバーの、ようだった。
トランシーバーからタビヲン語の声が聞こえてきた。
 「指名手配犯、マグギャランがナラシダ街道沿いの宿屋ナホーゲに現れた模様。二十台の黒髪短髪の男と十代の金髪バンダナの男、眼鏡を掛けた三つ編みの女の三人組」
くぐもった声は言った。
 「こちらは暗黒騎士だ。ただ今、報告通りの三人組を捕捉した」
 不味い、もう捜索が開始されている。
 まだ宿屋を出てから一時間も歩いていなかった。
巨大なヘルメットがスカイ達を見た。くぐもった声がした。
 「オマエ達の中にマグギャランという反政府の政府転覆テロリストは居るのか」
スカイは自分でも白々しいと思える口調で言った。
「は、とんと存じませぬが、お代官様。政府転覆のテロリストなど我等三人の中には居るわけなど在りませぬ」
スカイは、何故か裁判所に引っ立てられたような気分だった。
くぐもった声が言った。
 「オマエ達はターレン王子と関係の在るコモンのスパイなのか。どこの王国が支援に動いた。イネンシか?」
 スカイはウソを言い始めた。 
 「いえいえ、滅相も無い、我々は旅の行商人、今日も今日とて、荷物を運んでは行く先々で商いをする日々であります」
 くぐもった声が言った。
 「それでは、行商人、お前の腰に、ぶら下げている剣は一体何なのか」
 スカイは言った。
 「これは、商売柄、行く先々で不測の事態が起きたときに身を守るために必要とする護身の武器で、ございます」
 くぐもった声が巨大なヘルメットから響いてきた。 
「ほう、やけに仰々しい細工がしてある拵えの剣では無いか。その護身の武器とやらが、我等が喉に向くことは在るのか」
 スカイはシラを切る事にした。
スカイは自分でも白々しく思ったが、手を振って言った。
 「はっ!何とも酷い、お戯れを!我々は旅の行商人。つつがなく慎ましい人生を送る下々の者達にございまする。人様の喉元に剣を向けるなど、とても、とても」
 くぐもった声が言った。
 「それでは行商人、何を商っているのか、その荷物の中身を我々に見せてはくれぬか」
 マグギャランが、しびれを切らして叫んだ。
 「ええい、もう限界だ!スカイ!逃げるぞ!」 
マグギャランがラバの背中から宝箱を降ろした。
スカイは叫びながら宝箱の反対側を持った。
 「何、痺れ切らして居るんだよ!俺がナイスな言いくるめをしていたのに!」
 マグギャランは叫んだ。
「中身など、コイツラに見せられるか!」
 スカイは叫んだ。
「こうなりゃ逃げんぞ!」
 スカイはマグギャランと一緒に宝箱を持って駆け出した。
 「うおりゃぁああああああ!」
 スカイとマグギャランは同時に腹の底からの気合いを絞り出して走り出した。
 別の声が聞こえた。何か女の声みたいだった。
「追え、者共!奴等を捕まえろ!情報が欲しい!生かして引っ捕らえろ!」
 「うおぉおおおおおおおおおおおおおお!」
 雄叫びを上げてタビヲンの兵士達が全員スカイ達の後を追いかけ始めた。
 スカイは後ろを見て叫んだ。
 「追いかけてきたぞ!」
 マグギャランは叫びながら走った。
 「やらんぞ!びた一文やらん!」
 スカイは叫んだ。
「ダメだ!宝箱を持っている分、俺達はスピードが出ない!追いつかれる!」
 もう、すぐ後ろまでタビヲンの兵士達が迫っていた。
スカイは言った。
 「ええい、マグギャラン!パスだ!」
 スカイは飛びかかってきたモヒカン頭のタビヲンの兵士にタックルされながらマグギャランに宝箱を投げるように押しつけた。
 マグギャランは言った。
「ドッコラ、しょーっ!」
マグギャランは変な気合いを上げるとズッシリとした宝箱を、がに股で支えて肩に持ち上げて駆けだした。
 スカイは組み敷こうとした兵士達を殴り飛ばして、蹴飛ばして自由になると、マグギャランの後を追って駆けだした。
 まさかとは思うが、アイツが一人で持ち逃げをするかもしれない。
 スカイの脳裏に最悪の状況が浮かんだ。
そう思うと居ても立っても居られなくなった。
 スカイの目の前でマグギャランが兵士達に捕まり掛かっていた。
不味い!宝が!
スカイは腕で合図しながら叫んだ。
 「こっちによこせ!」
 スカイは、マグギャランが組み敷かれる前に叫んだ。
マグギャランは叫んだ。
 「任せたスカイ!」
 マグギャランはスカイに捧げ出すように宝箱を倒れ込みながら前に出した。スカイはマグギャランから受け取った宝箱を両手で抱えて走りながら頭の上に載せて走り出した。
だが、宝箱は重い、スピードが出なかった。直ぐにタビヲンの兵士達が迫ってきた。
 スカイを気合いを出して走った。
「うおりゃあああああああ!」
 速度が上がった。
 だが、兵士達はスカイに追いついて飛びかかってきた。
畜生め!
 俺の宝物だぞ!
 こんなヤツ等にくれてなるものか!
全部俺の物だ!
スカイは足で後ろを向きながら飛びかかってくる奴を蹴飛ばした。
マグギャランは言った。
 「スカイ、こっちだ!」
 マグギャランが横から走ってきた。
スカイは言った。
 「オラ!」
 スカイは宝箱をマグギャランに渡した。
 マグギャランは受け取って走って行った。
 マグギャランが宝箱を頭の上に載せて走っていきながら叫んだ。
 「スカイ!スマン!この宝は全部俺が戴く!」
 やっぱりそうか!畜生!
 スカイは叫んだ。
「何だと!この野郎!」
 組み敷いている兵士達を殴りつけて振り解いてマグギャランの後を追いかけて走っていった。
スカイは言った。
 「宝は全部俺の物だ!」
 スカイはマグギャランに飛びかかってタックルを掛けた。マグギャランとスカイは、もん取りを打って倒れた。
マグギャランは言った。
「何、やっているスカイ!森は、もうすぐだぞ!森に入れば木を盾にして戦う事が出来る!」
 マグギャランは叫びながら肘でスカイの横っ面を思いっきり殴りつけた。
スカイは言った。
 「うるせぇ!俺の、お宝を独り占めしようとしただろう!この野郎!」
 スカイはマグギャランの顔を殴った。