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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「やはり、かの鬼畜三将軍「絶輪」軍団の三メートルを越すようなパワー・ファイター達にケツで突き飛ばされては、無事では済まぬよなスカイ。キステリが助けてくれなかったら。お前はドンケツで殺されていたかもしれん」
 スカイは言った。
「あー、あんな奴に助けられるとは、一生の不覚だよ」
 マグギャランは言った。
 「そもそもは、お前が悪いんだぞ、スカイ。お前の腰に付けている剣「黒炎刻」が不幸を呼び込むのだ。本当に噂以上の酷いカース・ソードだ。早く捨てろ」
スカイは言った。
 「いいだろう、これはミレルが名剣「覇者の腕」と引き替えに俺にくれた剣だ」
マグギャランは自分の腰の剣「魔剣リヴァイアサン」を見ながら言った。
 「全然良くない。俺の「斬魔剣パラデイン」はエメラン・ヨーアック・クトイハに奪われたではないか。俺は「斬魔剣パラデイン」には無茶苦茶、未練があるぞ。あれこそ混沌の軍勢を薙ぎ払う、騎士の中の騎士が持つに相応しい名剣中の名剣だ。だが、替わりにタビヲンの名も知れぬ刀工が作った剣を一本渡されただけだ」
 スカイは黒炎刻を撫でた。
「俺の黒炎刻は奪われなかったな」
 マグギャランは言った。
 「名前と正体を知っていて黒炎刻を奪うような奴は居ないだけだ。エメラン・ヨーアック・クトイハも黒炎刻を持って刃を見たときに嫌がっていただろう。わざわざ自分から呪われて不幸になる奴が何処にいる。俺達みたいに財宝を奪われる奴等を見ていれば呪いの話にも十分な信憑性が出てくる。黒炎刻に手を出す奴など居ないだろう」
スカイは言った。
「まあ、いいや、コイツは無事だったし」
 スカイは黒炎刻を、ぶら下げた腰をツイストさせた。
 おおっ、良い感じだ。
 名前は黒炎刻。俺の剣だ。
マグギャランは言った。
 「だから全然良くないと言っているだろうスカイ。いつの間にか、俺達が買ったラバが行方不明になっているだろう。タビヲン王国恐るべしだ。追い剥ぎに遭って殴られて身ぐるみ、はがされたような物だ。観念するしかないか」
 マグギャランは、しまいには嘆息した。
スカイは言った。
「俺達は男爵になったらしいが、何か良いことが在るのか?」
マグギャランは言った。
 「うむ、俺達はタビヲン王国の貴族に一応叙せられたのだ。お前はアレバ男爵だ」
 スカイは昏倒していたから判らなかった。
スカイは言った。
 「俺が貴族になったのか?ミドルンのクリムゾン大公国のニーコ街の下町育ちの俺がかよ」
全然実感が沸かなかった。
マグギャランは言った。
「コロンも貴族になったし、オマエ達姉弟は大出世をした物だな」
 スカイは言った。
「でも、タビヲン貴族だぞ。コモンじゃ嫌われ者になるだけじゃねぇかよ」
 タビヲン王国はコモンの国の一つではあるが、どうしようも無い悪い連中の巣窟であるというのがミドルン人の一般的なイメージだった。
マグギャランは笑いながら言った。
 「タビヲン貴族でも貴族は貴族だ。お前も、もう少しテーブル・マナーを覚えた方が良いな」

スカイとマグギャランはエメランから貰った通行証をカハイナの関所で見せた。スカイ達がタビヲンに入る際に通行税と一緒に買った通行証より、ランクが高いらしい。
 タビヲン語で、係りの役人らしいモヒカン頭のトゲの付いた鎧を着たオヤジが真面目な顔で通行証を見ると最敬礼をしたまま言った。
「次の開門は三十分後ですから、それまで待ってください」
この門の責任者のようだった。他の役人らしい鎧を着た若い連中も最敬礼をしていた。
暫く待っていると三メートルを越す。巨大な岩巨人達が首に首輪を付けられて鎖で巻き上げ機に繋がれており、巨大な鎖を巻き上げる巻き上げ機を押して回し初めた。
 ゆっくりと軋み音を立てて扉が開いていった。
 スカイは見ていて嫌な気がした。
 分厚い扉の右の方が開いていった。
 そして、扉の向こうには見覚えのある巨大なヘルメットが見えた。一緒に開門を待っていた馬車や荷車の列が動き出した。
は、何でアイツが居るんだ。
 スカイは思った。
 暗黒騎士は言った。
「みんな、遅いじゃない。さあ、早く行きましょう」
 マグギャランが言った。
 「どういうつもりだ、暗黒騎士。俺達から奪えるものは、もう何も無いぞ」
 スカイは言った。
「そうだ、俺達は、カネも、お宝も全然無いぞ」
 暗黒騎士は可愛い声で言った。
 「ごめんね、私も悪いと思っているから。可愛くゴメンちゃいで許して」
 マグギャランは言った。
「それで済めば、この世の中、立ち行かなくなるものだ。野蛮人の時代に逆戻りだ。この期に及んで十五億ネッカー(150兆円)の財宝の話しなど許せる筈など無いだろう。シュラーヤとの婚約は俺としては大きいが」
 スカイは言った。
 「そうだよ。俺なんか三メートル越している大男達に囲まれてケツで吹き飛ばされて半殺しに、されたんだぞ。今の今さっきだよ」
暗黒騎士は言った。
「男のスカイと、マグギャランが、女の子の私をイジめる、コロン助けて」
 暗黒騎士は呪文書に万年筆で魔法の数式を書いているコロンに抱きついた。コロン姉ちゃんは背が低いから1メートル八十センチ以上の身長がある暗黒騎士が抱きつくと、大人と子供に見えた。コロンは困った顔をしている。
 暗黒騎士はコロンを抱きしめたまま持ち上げて言った。
「ね、仲間でしょ、私達」
持ち上げられたコロンがバタバタと足を動かしている。
 スカイは言った。
 「全然、仲間じゃねぇよ」
マグギャランは言った。
 「そうだ。当然だ。何か企みが在るのだろう」
 暗黒騎士は白々しい笑い声を上げた。
「気にしない、気にしない。おほほほほほほほほほほほ」
 コロンを抱えたままグルグルと回転し始めた。
 不味い。
コロンは案の定、気持ち悪そうな顔をした。
スカイは言った。
 「おい、暗黒騎士、コロン姉ちゃん吐くぞ」
暗黒騎士は言った。
 「え?吐く?何を」
 スカイは言った。
 「コロン姉ちゃんは回転に弱いんだよ。だからゲロ戻すんだよ」
 コロンは呪文書と杖を空中に浮かべて口を押さえていた。
 暗黒騎士はコロンを降ろした。
「えっ?」
 コロンはヨロヨロと歩いていって道の端で地面に両手を付いてゲーゲーと吐いていた。
暗黒騎士はコロンの後を追っていった。
 暗黒騎士はコロンの背中を撫でながら言った。
「ゴメンね、コロン。コロンの事よく知らないから。でも、これからは、もっと、もっと知ることが出来るからね」
マグギャランは言った。
「だから何の企みが在って俺達に付いてくるのだ」
 暗黒騎士は言った。
 「実はね、私は、パパにもっと剣や魔法の修行をしてくるように言われたの。それで、あなた達のパーティに入ってこれから冒険屋稼業をするわけ」
 マグギャランは言った。 
 「もっともらしくは聞こえる。だが、俺達に付いてきても大した修行になるとは思えないな」
 スカイは言った。
「そうだ、俺達は十五億ネッカー(150兆円)を奪われるような間抜けなパーティだ」