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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「道ならぬ、タビヲン王国の娘と、異国人の男性との恋。ですが、二人の決心は変わりません。それでは、婚約の印の指輪を填めてください」
 マグギャランとシュラーヤは、指輪を、お互いに渡そうとした。
 多分、この臭い芝居のシナリオを考えたのはルシルスだろうとスカイは思った。
 突然、アステアが、驚いた声を出した。
 「待ちなさい!シュラーヤ!その指輪は、「血の秘石」です!」
 マグギャランと、シュラーヤは動きを止めた。
 そして怪訝そうな顔でアステアの方を見た。
 アステアがエメランの方を見て言った。
 「どういうことですか、あなた。なぜ、シュラーヤに「血の秘石」を渡すのですか」
 エメランは腕を組んだまま言った。
 「私が決めた事だ。不服かアステア」
 アステアは言った。
 「いえ、わかりました」
その後で、フラクター製のデジカメで写して、集合写真を作った。

エメランととキステリは、回廊を歩いていた。
エメランは言った。
「キステリ、コモンが騒がしいな。「若返りの薬」を欲しがっている。鬼面丞も忙しいらしい」
 キステリは言った。
 「「若返りの薬」など欲しがれば、今まで生きてきた意味を無くすに等しい事にすら、気がつかぬとは愚か者が多いわけだな。私の様に人生を完全燃焼していない証拠だ」
 エメランは言った。
 「だが、他の財宝だけでも、十分な価値がある。売却する事も出来るし、借入金の担保にも使える。悪くは無い。実際、財宝の目録を、イシサや、ミドルン、ヒマージ、ハーベスの四大国も欲しがっているらしい。借入金の打診も入ってきている」
 キステリは言った。
 「軍略を決めるのは鬼面丞だ。だが、このような、財宝に頼るようでは、タビヲンの尚武の気風が揺らぐものよ」
 エメランは言った。
 「そう言うなキステリ。黒竜王はタビヲンを変えた事は変えた」
 キステリは言った。
 「黒竜王一人のカリスマに支えられたタビヲンは脆かった。今の若い連中は惰弱すぎる」
エメランは言った。
 「タビヲンは、昔から、来る人間は拒まない国だ。コモンから人を呼べば良い。黒竜王がしたように」
 キステリは言った。
 「随分と、あのコモンの騎士に目を掛けているな」
 エメランは言った。
「戦場で強い人間は、剣が一番強い者でも無ければ、魔法が一番強い者でも無い。最後まで生き残った人間だ。あの三人の冒険屋は強さを持っている」
キステリは言った。
 「だから自分の娘と婚約させたかエメラン」
 エメランは言った。
 「あの騎士は十四人の私の娘達の中で、一番、器量が良くなく、剣も魔法の腕も一番中途半端なシュラーヤと婚姻することを選んだ。普通の男なら、ミシュカ、ルシルス、トパジアの方を選ぶだろう」
キステリは言った。
 「あの騎士は伸びるぞ。私が懸想を寄せている金髪の少年と、レズの魔法使い娘が人を殺さない誓いを持っているため、一緒に居るせいか剣に迫力が無いが。鍛えれば物になる」
エメランは言った。
 「だから、シュラーヤと婚約させた」
 キステリは言った。
 「それを親馬鹿というのだよエメラン」
 
 暗黒騎士は母親のアステアと姉達と一緒に居た。
シュラーヤは顔を赤らめて右手を頬に当てて首を、かしげて溜息を、ついて言った。
「お・と・め・ち・っ・く」
暗黒騎士のママは言った。
「どうしたのシュラーヤ、急にヘナヘナとなって」
シュラーヤは言った。
「義母さま、トパジア、わたくし、あの方と添い遂げる決心をしました」
暗黒騎士のママは言った。
「シュラーヤ、まだ、結婚したわけではないでしょう」
 シュラーヤは言った。
 「いえ、あの方と私は魂が惹かれ合っているのです」
暗黒騎士は言った。
「シュラ姉は何かがヘンなんだ」
 ミシュカが急に泣き出した。そしてハンカチでダラダラと垂れる涙を拭きながら、一緒に垂れている鼻水を、すすって言った。
 「ずずっ…よかったのねシュラーヤ。ずずっ…ついに婚約したのね。ずずっ…ミシュカお姉さんは、男性恐怖症で、行かず後家になりそうだけれど、…ずずっシュラーヤは、ちゃんと結婚してね…ずずっ」
ルシルスが口元を神官着の袖で隠して、ジト目で言った。
 「シュラーヤ姉様も「出来損ない」と呼ばれているのに、男を捕まえることは出来たのですね。ですが、あのエロいマグギャランさんでは」
シュラーヤは胸に両手を当て顔を伏せながら言った。
 「ルシルス」
 ルシルスはジト目で言った。
 「なんです、シュラーヤ姉様」
シュラーヤはパーッと両手を開いて、ほのかに赤らめた笑顔で言った。妙に華やいでいて暗黒騎士一瞬うらやましさを覚えた。
「あの方と、わたしは、運命の赤い糸で繋がっているのです。わたし、あの方との恋に生きます。そして永遠の愛を育みます」
おおおっと、暗黒騎士の家族の間から感嘆の声が上がった。
 暗黒騎士は呆れていた。
 シュラ姉、そこまで言うか。

 暗黒騎士は旅支度を整えた。
 暗黒騎士は言った。
「それでは母上。トパジアはコモンに行って参ります。必ずやコロナ・プロミネンスを連れてタビヲンに戻ります」
暗黒騎士のママは言った。
 「判りましたトパジア。ルシルスが途中まで、付いて行きたがっていますが、どうします」
 ルシルスはジト目で言った。
 「嫌だと言っても付いていきますよ」
暗黒騎士は言った。
 「ルー姉は強引だからな」
 ミシュカは暗黒騎士に巨大な重箱五段の弁当五人分を渡した。
 「トパジアの大好きなミソカツ・サンドが沢山入った、スタミナもりもり弁当だからね。野菜もビーフシチューにして煮込んで、たっぷり入っているから、ちゃんと食べてねトパジア」
暗黒騎士は言った。
 「ミシュカ、コロンは少ししか食べられないんだよ。こんなに重い重箱は食べられないんだ、まあ、いいか、あたしが食べるから。ルー姉、ビーフシチューの保温容器を持ってくれ」
 ルシルスは言った。
 「ええ、判りました」
 そしてルシルスはビーフシチューの保温容器を持った。 

空には青空が広がっていた。タビヲンでも快晴になれば空が晴れるものであった。
スカイはマグギャラン、コロンと三人でタビヲンの首都カハイナの城下町を歩いていた。太陽光線に照らされると、どこも陰鬱な感じのする貧しい感じの街だった。
コロンは、また、呪文書を広げて歩きながら万年筆で呪文の数式を書き始めていた。
 スカイはタビヲン王宮を出て歩きながら言った。
「あー、ようやく、解放されたか。早く、こんな国出て、ミドルンのニーコ街で美味いボント・シチューでも食って、分厚く切った肉を挟んだ小麦のパンでも食いたいね。故郷の飯が一番身体に合うよ。タビヲン王宮の豪華な料理は俺には、やっぱり合わないな」
そして首をコキコキと鳴らした。だが、グキッと痛んだ。
スカイは言った。
 「イテェ!」
スカイは首を押さえた。
 マグギャランは言った。